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挑戦ーマカルー・アラウンド⑯ 2014/12/14 ヤンガルカルカへ [マカルーからシェルパニ・コル]

平成26年12月14日(日) ヤンガルカルカへ

静寂な闇を破るような音に目が覚める。テントをどんどん叩いているような。気がついてみるとしんしんと雪が降り、テントを覆い被さるように雪が積もっているのをポーター達が払いのけてくれているのだ。直感的にうっすらでないことが分かった。テントを開けてみるとすでに膝までは潜るだろう深さにまで積もっていた。

こんな天気だと停滞になるだろうか。十数回ヒマラヤに来て初めての大雪に見舞われた。ホワイトアウトまでではないが、雪明かりで周りの景色を見ると多少の視界はあるものの、すっぽりと円球のなかに封じ込められている状況に一気に不安がもたげてきた。
テントから食堂テントまででさえ真っ白な雪で完全にフラットな地形になっている。この先、トレイル無き道を覆われた岩やコーラを避けながらどの様にして下山するのだろうか。

さらにトレイルを何とか見つけても雪が降り続けたら通常の行程時間より何倍も時間が掛かるはずだ。山の経験はそれなりにあるのだが、雪の経験は皆無でますます不安がつのって絶望の淵に追いやられる。

朝ご飯を食べに食堂テントまで行くが、スパッツもしないで行ったために靴のなかに思いっきり雪が入ってしまい慌ててはき出す。
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ガイドからはとりあえずヤンガルカルカまで下って天候の様子を見ましょうと言うことになった。
夢を捨てて半信半疑で決断した退却だったが、こんな見事に的中するとは。先の不安は別としてそれ以上のリスクを回避できたことに安堵もした。
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8時に出発。樹林帯を一歩一歩前進する。ダワさんが斥候でルート開拓をし、数人が後に付く。トレイルの確認が出来たら残りのポーターが踏み固めた足跡を頼りに続く。私は最後尾に付き、ドルチさんとサブガイドが前後をかためてくれる。足下をすくわれると二人のどちらかが助けをしてくれる。それでも何度も踏み跡が沈んだり、傾斜しているのでスリップして転倒もする。時には腰まではまってしまうこともある。

深い雪に隠されたトレイルは私には全く識別できない。さすがガイドのダワさんは踏み跡を何度も踏みならし我々の歩行に道しるべを作ってくれる。ポーターも雪道では重い荷物が歩行を妨げるのでバランスを失ったり滑ったりしている。深い雪で転ぶと立ち上がれない。ほかのポーターが手を差し出して助ける。そんな繰り返しの前進になる。ふと目を上げるとタルチョーが目に入った。トレイルから外れていない証拠だ。ホットする。ダワさんもさすがに疲れるので、斥候をサブガイドが交代する。さいわいヤンガルカルカまでの下りは急斜面もないので11時前には到着する。ロッジの一つが施錠されていなかったので中に入って一息入れる。

ランチも終わり天候の様子を見守るが、しんしんと降る雪の勢いが一向に収まらない。結局今日はここ泊まりになる。

降雪がどこまで続くのか、無事下山できるのかそして最悪の場合でもフライトの予約までにKTM入りが可能なのか、不安が募ってくる。
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(12月8日の景色と比較して下さい)
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小屋に枯れ木を集めて暖を取るが、密室なので煙が目にしみる、灰が舞い上がる。そして火の粉が飛び散りダウンに付着しないのか気掛かりになる。2階の部屋で寝る用意をするが、掘っ立て小屋なのですきま風が吹き込んでテントよりも寒い。いつも用意してくれる湯たんぽのありがたさが今晩はことさら身に沁みた。

これからの不安になかなか寝付けないが、疲れもあっていつの間にか寝こんだようだ。

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