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再度エベレストトレッキング(2012・1015~1113)12 [コンマ・ラからエベレストへ]

2012年10月29日(月)

カラパタール(5550M)往復してロブチェ(4910M)へ戻る
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  (チャンチェ)
ゴラクシェプ(5140M)は大きなカラスが居るというのが語源らしい。
天候は安定して快晴。どこまでも深いブルーに染まった空と雪も付かない急峻な黒い岩壁、雪に覆われた白銀の峰、美しい景観はいつ見ても飽きることはない。残念ながらエベレストは稜線の陰に隠れてほんの一部しかまだ望めない。。むしろチャンチェ北峰(7583M)が吊り尾根越しに美しい。どう見てもエベレストと見紛う山容で、インターネットにアップされている写真を見ていると時々その山をエベレストと勘違いしているのを散見するほどだ。

6時40分に出発だ。往復なので空身で進む。左手に見える山稜を登り詰めるとカラパタールだが、ここからはピークは望めない。ロッジの裏に横たわる砂状の平地を横切る。多分ポカリが干からびてしまった湖底ではないかと想像した。
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   (リントレン=6713M プモリとエベレストの間)
その先はしばらくトラバース気味に高度を稼ぐ。登りは一時の息抜きも出来無い状態が続く。未だ日差しは上部の山稜にしか届いていないので気温は氷点下も相当低い感じだ。いつも操作性がいい軍手を使うのだが、、今日は勝手が違う。気がついたときにはさすがに軍手では防寒性が無く、指先の感覚がどんどん低下していくのを実感した。さらに指先だけでなく手全体が強烈な痛みに耐えがたい苦痛が走る。持参していたグローブを持ってくれば良かったと反省しきりだが、ここまで来て戻るのも辛いので我慢我慢だ。
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   (プモリ)
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   (カンテガそしてタムセルク)
手を擦り合わせても一向に痛みは軽減しない。ダワさんが気の毒に思ったのか彼のフリースの手袋を渡してくれた。二重に手袋を使って何とかなるかと期待したのだが、一向に改善の気配はない。手がちぎれんばかりに痛い、ダワさんが私の両手を彼の脇の下に入れなさいと挟んで温めてくれる。しばらくして落ち着いたところで歩き出すが、すぐに手の激痛に耐えられなくなって再びダワさんの脇の温もりで暖めてもらう。多分この現象が凍傷の前兆ではないかと初めての体験だ。
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   (プモリ)
そうこうしているうちに、8時頃には太陽の日差しが斜面いっぱいに降り注ぎ、ようやく手の痛みからもだんだんと解放されるようになった。手先の不自由さに折角の撮影をする気になかなかなれない。
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    (ローラとエベレスト)
トラバースから急峻な登りになり岩を縫ってジグザグで高度を稼ぐ。トレイル沿いにケルンが立っている。先に進むと賽の河原のような岩が点在している。ダワさんに賽の河原の話をしたらどこまで理解してもらえたか分からないが、そんな話をインド人もしていたと頷いていた。

カラパタールはその先にあるプモリを目指すようにして進む。右手にはだんだんとエベレストのピークがヌプチェの稜線から浮き立ってくる。カラパタールからのエベレスト眺望はヒマラヤトレッキングの最大の魅力だが、そこに確実に近づいているのを実感する。
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8時過ぎにはカラパタールの手前にある小高いピークにたどり着く。足は鉛を引きずるよな重さだ。下から見たカラパタールはなんの変哲もない小高い丘のように見えていたが、この高度では侮りがたい。ここからはエベレスト、ヌプチェが眼前に迫ってくる。そこからのクンブ氷河も見事だ。ただ、ここでは360度のパノラマとはいかない。ヒマラヤならどこでもそうだがこのピークにもタルチョーがはためいている。
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目の先にはもう一つピークが突き立っている。そこがカラパタールのピークだ。ひとしきりシャッターを切り続けたが、ここまで来たのだから最後の気力を振りしぼって登ろう。一歩一歩ビスターレで足を進める。近くに見えて遠かったピークにたどり着く。すでに多くのトレッカーが景観を見ながら感動を声にしていた。
360度のパノラマに今までの疲れが一気にすっ飛んでいった。ヌプチェ、エベレスト、チャンチェ、プモリが一望出来る。さらに左に目を送るとチョ・オユーだ。チョ・オユーの姿はゴーキョで見た形とは全く違った容姿だ。ここからはいくつもの凹凸の連続の稜線が続く。ゴーキョからの姿は左右に穏やかな稜線を従えた山だった。
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チョ・オユー  
 (チョ・オユー)
前方右手下部のクンブ氷河にはエベレストBCがある。BCには「new」と「old」があって、そこはピークハントの目的では重要な基地になるが、トレッキングの対象としてはただただ歩くだけでそこからエベレストの眺望はそれほど期待できないらしい。今回もBCに行くかどうかダワさんと情報交換したのだが、行く意味がありませんとのことで計画から外した。春先ならエクスペディションで待機しているクライマー達が大勢キャンプをしているので、その雰囲気を感じる意味もあったかもしれないが。
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ピークでは写真を撮りまくった。ただ、確かにここでの景観は絶景ではあるが、レンジョ・ラから見た眺望と比較してどちらが上だろうか。それは人によって違うのだろう。私にはレンジョ・ラでの思い出は強烈だったので軍配をあげたい。レンジョ・ラではチベット街道からゴーキョに向かったのでレンジョ・ラを越えるまでは稜線に前方が塞がれ、視界は全くきかない。レンジョ・ラに着いたその瞬間に左からチョ・オユー、エベレスト、ヌプチェ、ローチェ、マカルーが一望できる景観が目に飛び込んで来たわけだから、突然の変化というドラマ性がそう感じさせているのかもしれない。

ピークでは小一時間ほど居ただろうか。いつまででもいたい気分で心残りではあったが、ロブチェまで下山をしなければならない。下山ともなると気分が爽快になり、登りの辛い気分はすっかり過去のことだ。
前方にはアマダブラムがレンジから一つ抜きんで出てその左手にカンテガ、タムセルクが望める。眼下にはクンブ氷河が大きくうねって青白い氷が所々で光っている。右手にはタウ・チェ(6495M)、チョラ・チェ(6335M)が見える。
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    (アマダブラム、カンテガそしてタムセルク)
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10時半にはゴラクシェプに戻って用意された昼ご飯になる。
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2時20分ロブチェに到着。標高差はそれほどでなかったのだが、5回の登り返しがあったり、カラパタールへの往復で疲労した足にとっては必ずしも快適ではなかった。

夕方にはロッジに入って暖を取りながら夕食を待つ。そこには元気そうな老夫婦が二組滞在していた。老夫婦と云ってしまったが、人のことは云えない。私も十分に老人であることを思い出し自嘲の笑いをもらす。
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当初の予定ではチョラ・チェを越えてゴーキョを経由して可能ならレンジョ・ラを再び越えて帰る予定にしていたが、喉、気管支の具合が一向に快復しないこともあり、ゴーキョ、レンジョ・ラは一度は歩いたコースでもあるので断念することにした。
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コメント 1

ナカチャン

意外と元気な状態で、カラパタールを上り、クーンブ山群の景色を満喫され、良かったですね。あれだけ苦労されて、カラパタールに到着され、小1時間で帰られるのはもったいない気がします。
でも、初期の目的を達成され、何よりです。お疲れ様です。
by ナカチャン (2013-03-06 19:04) 

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