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バルトロ氷河とK2⑮ パイユ~コラフォン(復路) [バルトロ氷河からK2へ]

8月6日(水) パイユ~コラフォン

今日は再び快晴。出来れば曇って欲しかった。6時半にミールさんと二人で先行して出発する。ここからのトレイルはほとんど水際に沿って下山する。時々高巻きをしたり、土石のたまった中州に移ったり、穏やかな歩行の連続だったが、下流に行くに従って、増水した水がトレイルぎりぎりまで寄せることもあり高巻させられることが頻繁になる。7時過ぎに吊り橋が見えたが、軍の管理下にある橋でパイユキャンプサイトの対岸にあるヘリポートサイトに繋がっている。
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繰り返される高巻きに息が上がり始めた。しばらく進むと平坦なトレイルに変わり、その先にはバルディバルがある。9時過ぎに着く。往路では昼ご飯を食べたところ。水を飲んだりしてのんびりしていると、以前にあった恋人(夫?)を遭難で失ったノルウエー人の女性がロバに乗って追いつく。彼女は小屋で売っているコカを買い求めてぐいぐいと飲み干していた。さすがにちょっとだけ羨ましい気持ちになったのは正直な気持ち。高いとはいえ700円だからその気になれば負担ではないが、変なプライド、それって何?といわれると返答に窮するが、やせ我慢して水筒の湯冷ましで喉を潤す。
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平坦なトレイルが続き、遠くにパキスタンの国旗が翩翻と翻っていた。軍の中継基地だ。本当にシャビーな佇まい。ブラルドゥ川が昨日の雨でいっそう水量を増して踊るように時には争うように牙をむいて下流に向かって行く。大きな中州が浮かぶように広がっている。よくよく見るとその中州の先端にロバが一頭立ちすくんでいた。背中には荷物を積んでいただろう枠組みが無残にも残っている。ミールさんは川に転落して泳いで辛うじて中州に這い上がったのだろうといっていた。ロバの運命を想像しても儚い。へり以外誰にも助けることが出来ないどうしようもない状況だ。でも飼い主にとって3万ルピー(5万円相当)もするロバを失ったロスは残念無念だろうことも想像出来る。
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11時40分、水際のトレイルが水没しているため、大きく高巻きすることになる。長い道中でもあり、長い登りは足に辛い。どうのこうの言うまでもなく一歩一歩足を進めるしかない。11時50分ようやくビアフォ氷河の合流地点が見える。12時15分小休止。ここまでは快晴にもかかわらず、往路ほどの熱風に悩まされることはなかった。昨日の雨が気化熱になっているからかもしれない。

12時40分、そろそろジョラも近い。ドモルド川がブラルドゥ川と合流する地点だ。ここからは今日のキャンプ予定地、コラフォンも見える。ビアフォー氷河が流れ込んでいる手前にある。そこだけ緑が繁茂しているのではっきりと見分けることが出来る。それにしても往路でも実感したことだが、ドモルド川上部までの行き来は堪える。橋があったら、と子供じみた非現実的な空想に疲労感との葛藤がもたげる。さすがにここまで来ると快適だった通る風も熱風に変わっていた。1時半には手持ちの水も尽きて喉をカラカラにしながらようやくジョラにたどり着く。

ここで昼ご飯といつもより長い休憩を取ることになる。といっても日射が厳しいのには変わりない。一眠りしたいにも快適な場所はない。惜しみなく流れるホースの水を思いっきり頭に浴びて冷やす。水冷だ。一気に頭がすっきりする。さらにタオルにたっぷり水を浸し後頭部に巻き付ける。ホットした一瞬。

2時10分、ぼちぼち出発。出発際に管理人からシェールが「往路の吊り橋の通行料を払え」と呼び止められていた。彼は領収書ももっているので払う必要はないと一悶着。この濡れ衣の原因は行きの通行料を受領した人間と今日は違っていたことだけなのだが。それにしても不思議な現象、管理体制が不十分というか、イチャモンつけて取れる相手からは取る、ということなのだろうか。とても現地ガイドなしでは何が起こっても不思議ではないことを実感する。

2時30分には対岸に渡る吊り橋を渡り、対岸を今度は下流(ブラルドゥ川)に向かって進む。少しは山陰もあって少しは楽だ。ほとんど水平トレイルなので足への負担は少ない。さらに山際に近づき日陰が多くなる。トレイルは岩壁に沿って時には岩をくりぬいた場所もある。ガイドは川面に下りてペットボトルに汲み入れた水を土砂が沈殿する時間を待って美味しそうに飲み干していた。岩場を一気に登りそして下ってしばらく行くと今日の目的地コラフォンだ。4時50分、まだ明るく夕日が燦々と降り注いでいた。ビアフォー氷河の末端で上部にはアブレーションバレーがダムの突堤になっている。岩の間を縫って小さな流れを作り、集まって小さな川がテントの横を流れている。柳らしい木が繁茂している。キャンプサイトとしては最高の環境だ。
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テントを張り、日向ぼっこをしているとパキスタン軍の数人が近づいて来た。私にも片言の英語でどこから?どこに?との質問を浴びせてきた。ガイドやポーターともやり取りをしていた。だんだん雰囲気が変わって我々の食料で余っているものがないか、ということになったらしい。パキスタン軍も十分な支援が出来てないことが推察された。
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あと一日で集落に戻れる。ただ一つ心配なのは道路が増水でどこまで破壊されているのかだ。噂の範囲だが、アスコーリからジープには乗れないらしい、ということだ。行ってみないと分からない世界。ケセラセラ。
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