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バルトロ氷河とK2⑦  ジョラ~パイユへ [バルトロ氷河からK2へ]

7月29日(火) ジョラ~パイユ(3600M)へ

今日も快晴だ。この一帯では炎天下の移動より曇って貰いたいのに、そんな願望とは裏腹な天気になってしまった。ポーターを引き連れての移動では朝一番の荷物配分の作業が結構手間どる。パキスタンではきわめて厳密に重量を量って25KGの攻防が始まる。少しの超過でも文句を付けるポーターもいる。ガイドにとってこの仕分けはポータ-の数に影響するので厳しい攻防になる。ガイドは当地ではよそ者のフンザ人、ポーター達は全てが現地人なので部族間の違和感もあるだろう、その上シェールはK2では未経験なこともあってポーター達から甘く見られているのかもしれない。その未熟さをそっと陰ながらサポートしているのがミールさんだ。経験の差もあるし、出身がお互いフンザだと言うこともあるのだろう気遣っていた。
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6時半に出発する。今日は7時間の行程と聞いているので灼熱との戦いは厳しそうだ。河川敷にあるほとんど平坦なトレイルをしばらく進むと再びブラルドゥ川沿いのトレイルになり、バルトロ氷河へ直進する。徐々に山が川に迫り、トレイルも川面に沿って遡上する。河岸の土の濡れ具合から観察すると水量は減少しているようだ。ミールさんから、昼過ぎまでは水量が減少しその後夜半まで増水すると聞いた。なるほど日中の日射で氷河が溶け出して水量が増える、午後過ぎると下流で増水するわけだ。
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朝方なので水際ぎりぎりをしぶきを浴びながら遡上する。トレイルは当然アップダウンの少ない方が楽に決まっている。だから水面に近いルートが望ましい。しかし現実には水量が多くなったり、あるいは岩がせり出して先を阻まれると高巻きをせざるを得ない。水際を行くか、高巻きをするのか、その選択は難しい。その点、経験豊富なミールさんは的確な判断をしてくれるので安心だ。時にはそんな水際に突っ込んで先は大丈夫かと思う時にも、引き戻すことにはならない。用心して高巻きするのと比べたらどれだけ負担が少ないことか。大変助かるし、信頼感が疲れを軽減もしてくれる。
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勢いのある川音はゴウゴウという轟きだけでなく、水の勢いに直径数メールもあろう巨岩が押し流される音も含まれている。凄まじい流れだ。9時には右手前方にマッシャーブルム山群が視界に入る。本峰はその陰で未だ見えない。この一帯では河川敷も広くなっている。前方にパキスタンの国旗が数本翻っている。そこはパキスタン軍の中継基地なのだろう。のんびりと何人かの兵隊が行き交っていた。K2方面はカシミールという紛争地区でもあり、今でも軍隊が常駐し警備に当たっている。朝方にはヘリが飛来し物資を国境警備隊へ送っているのを見送った。
10時40分、一段と河川敷が広がったところにあるバルティマルのキャンプサイトに着く。岩小屋があって小屋番もいるようだ。ナビさんが作ってくれたチキン・ローストと濃いめのチャイ、ゆで卵そしてパンというメニュー。日を遮るものもない場所で少しでも日陰を探そうと大きな岩陰にシートを引いて貰って横になる。あっという間に睡魔に引き込まれてウトウトしてしまった。あと2時間の行程なのでゆっくり、のんびりとした。
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川面に沿って、時々は高巻きをしながら先に進む。3時前に左手前方に一点、緑が繁茂しているエリアが視界に入る。そこが今日のキャンプサイト地パイユだ。その先にはバルトロ氷河の末端が見えてきた。もうすぐかと気を許したが、その後の高巻きは結構なアルバイトになった。とりわけ最後のキャンプ地までの登りでは強烈な暑さに息も上がった。3時15分パイユ(3600M)に到着。陽が未だ高いのでポーター達は最後の豊富な水源と言うこともあって洗濯をしていた。
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不思議にこのキャンプサイトには柳の木に似た木々が繁茂している。伏流水が豊富なのと土壌もいいのだろう。そのお陰で日陰もふんだんにある。ここもパジュと同様、トイレなどの施設が用意されている。5時過ぎには食事も終わり、のんびりと寛ぐ。予定では明日はレスト・デイだ。

ふとこれからの行程の予習をしようと、地図、ガイドブックなどと睨めっこをする。レスト・デイの翌日にウルドゥカスまで一気に登る事になっているが、ちょっとタフな行程に見えた。そうであるなら明日のレスト・デイを返上して中間地点にあるコブルジェで一泊してウルドゥカスを目指す方がその後の負担を軽減できそうに思えてきた。

早速、シェールとミールさんに計画の変更可能性を確かめにテントを出た。しかし、彼らはポーター達に明日がレスト・デイとすでに告げているのでこの段階で計画変更は難しい、という。しかし確かにその方が貴方にとっては望ましい行程になるだろう、何とか検討してみましょう、ということになる。

結論はポーター達はこのまま当地に滞留して貰い、明日一日分の食材とテントだけを持って私とガイド2人そしてコックさん4人で先発することで決着となった。先のリスクを考えると良い結論になってホッとした。

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