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医師不足問題の解決には [医療]

医師数が統計上OECD諸国と比べて少ないことは事実だが、それを声高に主張するだけでは当面の医師不足への解決にはならない。そのためにはミクロからとマクロからの方法論が必要だ。

ミクロからの解決策は地域社会(住民)との一体化を実現することだ。兵庫県柏原での住民運動が医師のそして医療の実態を理解し、市民が医療サービスの過剰消費を抑制しようとしたそうだ。その結果、住民と医師(医療機関)のいい関係が構築されて、去ろうとした医師も留まり、さらに新しい医師も加わったと聞く。大分県中津市でも同様に市民の医療への理解が深まるなかで地域と医療機関が協調出来るシステムが立ち上がったと聞く。宮城県栗原市や岩手県藤沢町でも市民(地域)と病院が連携を強化するなかで健全で安定した医療サービスが提供されている。市民にとって医療が自分たちの必需であり、自分たちも関わって作っていくという状況を誰かが先導していく事が出来れば最悪を回避する一つの可能性を示している。まさにかつて市民運動を元気づけた「草の根運動」が医療改革においても肝要だと言うことだ。

と同時にマクロからの解決の努力も必要だ。奈良県での妊婦たらい回し事件に絡んで言われていることは、奈良県内での産科医数は正常出産数を十分引き受けることが出来る水準らしい。そして難度の高い出産に対応するべき奈良医大がその役割を自覚し、そのための体勢、対応を意図していたかについて疑問を感じる。もし県内で大学病院を頂点にした産科医がネットワーク化されていればそのような事態を招かずにすんだ可能性は高い。これは奈良県特有の問題ではなくどこの県にも該当する課題だし、救急医療についても同様な対応が望まれる。しかし全く無策と言われてもやむを得ないのが現実だ。

医師不足問題の解決は短期的課題と中長期的課題をしっかり見極めて、出来るところから社会として取り組んで行くことだし、それを先導する行政の自覚が前提になるだろう。しかし道路特定財源の確保には全員一致で賛成する知事達ではお先真っ暗かもしれない。それを変えられるのは我々市民の一人一人が医療の本質を理解し、行動に移すことが喫緊の課題だ。
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