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ヒマラヤ・トレッキング=⑫カンチェンジュンガ・トレッキング(11月2日) [カンチェンジュンガ]

チュチュング・ポカリからシレ・ラ手前のポカリへ

(11月2日)
6時に起床。テントから外を見ると事態は好転していない。天空は厚い雲が覆い被さっている。辛うじて地平線上の雲の切れ間から差し込む朝日の輝きが幻想的で美しい。テント場の前にあるポカリは凍っていた。湖面に雲や山が投影されて幻想的な世界だ。ラトン(6679M)だけがピークをくっきり見せている。


こんな天候では今日の眺望は期待できそうもない。一番の目的の一つだったジャヌー(7710M=現地名クンバカルナ)はこのままだと絶望的だ。ガイドと相談して一気にグンシャまで下らずに今日はシレ・ラ泊まり(実際はその手前にあるポカリ)に変更する。ガイドによればジャヌーを見るチャンスがあるということだったが、後で分かったことはジャヌーはミルギン・ラを越してから先ではシレ・ラまで稜線の裏側になってしまって見ることが出来ない事が分かった。

ガイドの情報不足が改めて問題を突きつけられた。ダワさんはメジャーなエリアには的確な情報を提供してくれたが、カンチェンジュンガの情報に関しては不満が残った。(ただ振り返れば疲労度から考えて途中で宿泊することで体力温存に役立った点は結果的に良かったが。)

ガイドのダワさんはタプレジュンからのフライトチケット手配のため先行してグンシャに下りる。今日からはサブガイドのバッサンがリーダー役だ。さらにポーターの3人もダワさんと一緒して下山する。彼らの使命はここで終わったと云うこと。食材も行程半ばを過ぎ荷物が減ったためだ。

7時10分にはガイドと3人のポーターは出発した。我々も7時50分に出発する。ここからはなだらかな登りが続く。8時55分シネラプチェ・ラ(4640M)に着く。時折雲間から光が射すこともあり、青空が眩しい。右手前方に10月29日に通過したラミテ・バンジャンとそこの大崩落が視界に入る。そしてその左手にはシッキムに続く街道も見える。


9時50分アンダペディ(ワタ)からのトレイルと合流。イギリス人の大部隊が追いつ抜かれつで折角の静かな雰囲気が壊れるので、一旦小休止を取り距離を作る。エッジを右手に見ながら山腹を緩やかな登りでトラバースする。しばらくすると青空も消えて雲が、そして厚い雲に変わっていった。

11時45分ミルギン・ラ(4480M)に着く。ここからのジャヌー眺望を楽しみにしてきたが、残念ながら後も先も雲の中。この一帯は雪に覆われている。タルチョーが風に煽られてパタパタとはためいている。トレイルから左手に登ったところに小さなピークがある。折角なので雲が切れる一瞬を期待してカメラを手にそこで待機する。ほとんど絶望的だと思って諦めかけたその一瞬、ガスが掃くように切れてジャヌーのピークが見えた。全貌が見えたわけではないのでその時はどこの山なのかも分からなかったし、ピークが見えただけで満足しなければと自分に言い聞かせていた。本来ならガイドに情報を求めたいのだが彼らも未経験のエリアのため正確な情報が得られない。結局、本当の感動は日本に帰って撮影した画像と写真集のジャヌーの画像を比較して、間違いなくジャヌーであることが確認できてようやく味わうことが出来たのだ。





ミルギン・ラの前後は厚い雪に覆われていた。<雪が深いだけなら歩行にリスクはないが、時々アイスバーンや凍った岩に足を奪われそうになる。滑落のリスクはそれほどではないが、スリップすればただごとでは済まないだろう。しばらく緊張した連続。ガイドが気を使ってくれる。下り登りを繰り返しながら少しずつ高度を下げていく。シネオン・ラ(4440M)を通過。ここまで来るとテント場はそう遠くないはずだ。

1時15分ラメスがヤカンにホットオレンジを入れて来てくれた。いよいよテント場は近い。岩場を一気に下ると眼下にポカリと十個近いテントが既に張られていた。天候は益々悪化、雪混じりになってきた。岩に囲まれたシェルターのなかでガイド達は寝泊まりする。そこが調理場でもある。バーナーの余熱でテントよりは暖を取れるので暫くはガイド達の調理を見たり、軽い冗談を交わしながら時間が経過していく。バッサンは夕方まで時間があるので他のグループのポーター達とトランプゲームに熱中し盛り上がっていた。多少のギャンブルになっているようだ。

2時過ぎ野菜入りのスパゲッティにブロッコリー、マッシュルーム、ジャガイモのマヨネーズ和えなどと日本から持ってきたドリップコーヒーで昼と夜兼用の食事だ。そこで横になって寛いでいたら「山が見えるよ!」と声がかかる。


出てみるとテント場の後にピークが見えた。ピークから沢沿いに小さな流れが目の前のポカリに流れ込んでいる。でもそれも一瞬の出来事で再びガスに隠されてしまった。ポカリを数頭のヤクが横切って行く。





小雪が再び降り始める。再びガスの中に沈んでいった。しんしんと降る雪に不安を感じながらいつの間にか深い眠りについていた。



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