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ヒマラヤ・トレッキング=⑪カンチェンジュンガ・トレッキング(11月1日) [カンチェンジュンガ]

ラムチェからチュチュングポカリへ

11月1日(水)
今日は朝飯抜きで5時半にオクタンに向けて出発。今日の目的地チュチュングポカリへはオクタンから出発地に戻って(ラムチェ)からの登りになるので荷物は取りあえずの腹ごしらえだけ。ビスケットと飲料そしてカメラだ。同行するのはガイドのダワさんとキッチンポーターのダワさんだけ。実はガイドのダワさんは当地は初めてなので当地での経験豊富なポーターのダワさんが付き添うことになった。荷物は全部ガイドが持ってくれるので自分は空身。

しばらくは平坦な道を進む。ラムチェからは正面にラトンとカブルーの南峰が行く手を阻むように正面に見える。美しい姿だ。ヤルン氷河に沿って進むトレイルはラムチェの先で左に折れて伸びている。しばらくは軽い登りの平坦な広がりのある岩場を進む。

突然ガイドから声がかかった。「鹿の群れだ」との声に前方を見ると岩場と保護色になっている数頭の鹿の群れだ。最初は警戒もせずに枯れ草を食んでいたが、危険を感じたのか一気に右手上を目指して脱兎の如く走り去った。

モレーンの縁を登る。未だ陽も差していないとさすがに4500Mをこえる高山だから手袋をしていても指先は痺れてくるし、体の芯まで冷えが伝わってくる。ヤルン氷河が左に曲がってその先に進むと正面にカンバチェン(7902M)。カンチェンジュンガ本峰の西側にあるヤルンカン(8505M)そして左手尾根越しにジャヌー(クンブカルナ=7710M)が見えた。この一帯がオクタンだ。


しかし右手インド国境を跨いで立ちはだかるカンチェンジュンガ本峰、サウスのある国境方面は残念ながら雲の中。7時半にはオクタンに着きビスケットを咥えながら雲が切れるのを待つ。ここから見ることが出来るはずのカンチェンジュンガをカメラに納めようと構え続けたが、なかなか雲が切れる気配はない。

右手アブレーションバレーには道らしき踏み跡が見えるが、カンチェンジュンガを目指す際に通過するトレイルだ。 天候の回復見通しもなく寒い事もあり、後ろ髪を引かれる思いでそこを去る。モレーンから再び平坦な広がりのある谷間を下っていくと再び鹿の群れだ。今度は4つのグループがそれぞれ群れをなして枯れ草を食んでいる。近づくと一つの群れがリーダーを先頭に右手の山の上を目指し走り始める。順序があるのか見事に一列になって上に向かっていく。次の群れが同じように山の上を目指す。そして保護色の鹿は山の彼方に消え去っていった。かすかに蹄の音が幾つも重なって静かな空間にこだました。ヒマラヤで何度かいろいろな動物に出会ったがここでの出逢いは感動的だった。

9時にはテントに戻り朝ご飯。再び食欲が後退している。お粥にみそ汁をかけて、ハニーレモンティー、サヤエンドウの和え物で何とか流し込む。10時5分出発だ。

しばらくは昨日登った道を下り10時40分丸太橋を渡っていよいよ分岐(ヤルンバラ)してポカリを目指す。山肌を一気に直登するような登り。さすがに息が切れる。一歩一歩足をゆっくり進めるしかない.。快晴ではないが日差しがあり、急登に汗だくとなる。眼下にはヤルン氷河そしてシンブワ・コーラが見える。

しばらく行くと山火事のあとだろうか、黒く焼け焦がれた木がにょきっと何本も立っている。ガイドの話では落雷が原因のようだ。トレイルがトラバースになり正面に尾根が見える。

12時40分チェラムからのトレイルと合流する。ここで昼飯だ。ここにはゆっくりするスペースもなく、水場もないので、ほとんど岩に寄りかかりながらの食事になった。ビスケット(紀伊国屋のクッキー)とリンゴ。ネパールでもビスケットはそれなりの味だが、紀伊国屋のビスケットはさすがに美味しい。あとはダトパニを冷やした水で作ったポカリスエットだけだ。気分的には寛ぐと云うよりようやくの思いで呼吸を整えているという感じ。2パーティー、白人約10人のトレッカーそしてガイド、ポーターが追い越していった。

1時45分出発。ここからさらに急登が続く。バテバテの体、4600Mを目指しての高度だから息も上がる。2時15分ポカリの前に着く。天気が悪化して雪交じりとなる。鹿に出会った時にガイドが言っていた「天候が悪化する時には鹿は下に下りてくる。天候悪化の前兆だ」がまさに当たってしまった。この先が心配だし、ミルギンラから見るジャヌー眺望がどうなるのか不安になる。

ポカリを囲むように屏風状の岩がそそり立っている。ポカリの周辺では数頭のヤクが残り僅かになっている枯れ草を食んでいた。二つ目のポカリ前が今日のテント場だ。すでにテントが張られている。ズーと先だと思いこんでいたために、突然の宿泊地到着に安堵した。この辺りの記載が地図上もガイドブックにも正確にはなく、しかもガイド達も経験不足のエリアであるため私に詳しい説明がなかったからだ。

テントが張られるのを待って中に転がり込む。さすがに辛かった。なんども「もうたくさん」と言う気分になった。3870Mをスタートに4730Mのカンチェンジュンガ展望地点、オクタンまで足を伸ばし、4000M近くまで下山してからの4425Mまでの急登だからやむを得ないか。天気さえ良ければ疲れも吹っ飛ぶのだが残念ながら雪交じりの天気に気が滅入った。

寝袋を取り出し、汗をかいた下着の着替えをして体を温めるために潜り込む。ふと気がつくと眠り込んでいたようだ。ヤクのカウベルの音に目を覚ます。お茶の用意が出来たので喉を潤してながら体の芯を暖める。ポカリの前にある掘っ立て小屋では夕ご飯の準備だ。

今までは一人テントで食べることも多かったが、狭いし一人で食べるのも侘びしいので、ガイド達の調理している小屋でみんなに囲まれながら食事をすることにした。今晩の献立は乾燥させたヤク肉を戻し煮込んだカレーとナスの醤油煮、ベジタブルスープ、ツナ缶そしてご飯。とても美味しく平らげることが出来た。朝、昼とも軽食で済ませていたので当然かもしれないが、食事が美味しい。食欲が戻ったようだ。

ガイド達は私の食事が終わってから彼らの食事の準備。所在ないがポーター達とたどたどしい会話を楽しみながら、少しでも暖のあるところに居たかったのでしばらくはそこに止まることにした。

ガイドのダワさんは今年の春、彼としてもエベレストへの初登頂に成功したので、カンチェンジュンガのピークハントについて質問した。彼によればカンチェンジュンガは崩れやすい山で、極めて難易度の高い山だそうだ。多分ダウラギリと並ぶ難しい山らしい。世界第2位の山、パキスタンのK2も難しいと聞いていた。

明日の天候に不安があるのでこれからの計画の見直しをすることになる。先ずは復路は、往路で使ったジープではなく、出来れば飛行機を利用したい旨伝える。タプレジュンへのフライトは週に2回だが、時たま臨時便も飛ぶとのこと。ダワさんの話でグンシャには電話があるので予約を入れてみよう、とのこと。そのためには少しでも早いほうがいいということで、ダワさんは明日早朝に下ることになる。

ガイドはサブガイドのバッサンそしてキッチンポーターながら経験豊富なマンバトルさんが居るので心配ないとのこと。さらにこの先の天候に不安があるので明日はグンシャまで一気に下りずにシェレレで泊まってジャヌー眺望の可能性に賭けることにする。




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