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ヒマラヤ・トレッキング=⑨カンチェンジュンガ・トレッキング(10月30日) [カンチェンジュンガ]

トロンタンからチェラムへ

10月30日(月)

トロンタンにある番屋には中年のご婦人が常駐している。彼女ともう一人の男とでこの小屋を維持しているらしい。
番屋がどんなルールで運営されているのか聞けなかったが、ヤンプーディンの住民が管理しているらしい。この先のカルカとヤンプーディン(最奥の常駐村)の行き来に立ち寄るためには欠かせない設備だ。厳冬期には雪が腰まで積もるそうだ。小屋が潰れないよう維持することも大事な役割とか。


2頭のヤクが番屋前で待機している。昨晩から番屋に泊まっていた家族がチーズのパックを背中に乗せる準備をしていた。老夫、息子夫婦、そして孫をいれて5人のグループだ。老人が近づいて来た。手振りで何かを伝えようとしている。なかなか理解できない。こちらも愛想一杯笑顔で対応。でも実は何も理解できていなかった。後で分かったのだが彼は声が出ないのだ。家族とも手話で話をしていた。でも家族全員との暖かいやり取りを見ているだけで不思議とほのぼのとした気分になっていった。

いよいよ装備を高山対応に切替、半ズボンから長ズボンにウインドブレーカー、そして帽子や下着も羊毛製にする。朝の冷え込みも今までとは違った冷え込みだ。霜が降りている。ここは谷間なのでなおさらだ。8時40分出発。両側から迫った谷間をシンブワコーラを右手に見ながら進む。この一帯は樹林帯になっている。水が豊富で苔むしたなかを歩いたり、しばしばトレイルに流れ込んだ水の中を歩くこともある。だんだん谷間の空間が広がりを作って開放的な雰囲気に変わる。

ポーター達がはしゃいで木の実を積んでいる。よく見ると背丈ほどの木に濃紺の小さな実がなっていた。房状になっているチャッシー?(ブルベリーではないかと思われる)を帽子やビニール袋に。食べてみたが未だ完熟前なのか酸っぱくてとても美味しいとは言えなかった。12月頃には黒ずんで甘くなるそうだ。それでも彼らにとっては土産らしい。しっかり袋に入れてザックに大事そうに仕舞っていた。


9時15分進行方向に真っ白な雪をたたえたラトン(6678M)が浮き立って見える。さらに進むとカブルー(7317M)が見えてきた。




ワタのカルカだ。ゾッキョが放牧されている。シェルパ族の人も作業をしている。12時にアンダペディに着く。ここにも番屋がある。ここで昼食だ。今日はチャウメン(焼きそば)とブロッコリーのマヨネーズ和え、インゲンの醤油味だ。少しずつ食欲が戻ってきてホッとした。

番屋に入るとヤクのチーズが梁からぶら下げられて保存されている。さらにヤク肉の干物が下がっていた。この肉は死んだヤク肉を干して保存食に。必要に応じて茹でて解した後油で炒めて食べるそうだ。高山ではヤクの乳や肉が貴重なタンパク質の供給源になっていることが分かる。ヤクは屠殺するのではなく、自然死したヤクを使うそうだ。あくまでも神の思し召しをいただくと云うことらしい。

日本でいうブルーの防水シートが調理場に早変わり。その上で香辛料、食材、食器などを並べて3人のチームワーク(下ごしらえ、調理人、皿洗い=水汲み)で手際よく料理がされていく。広げた物を再び見事にまとめて1時50分に出発だ。ここからは若干の登りはあるものの長閑なトレイルになる。


2時半トレイルの真ん中に何本かの木がまとめられてその周りをタルチョーが囲っていた。仏教徒が祈祷する対象にしているのが分かる。私も幸運を祈願して先に進む。




毎日午後になると雲が出て来る。正面のラトンが見え隠れする。木々も低木になり周りの視界は明るい。右手シンブワコーラに木橋が架かり道が対岸の稜線に向かって延びている(3時5分)。ダージリン地方につながるトレイルだ。右手にある稜線を越えた向こうはインドということ。ネパールの最東端を今歩いていることになる。国境に縁のない日本人にとっては不思議な気分。両側の稜線がどんどん遠くなり、フラットな平原状になる。3時半今日のキャンプ地チェラム(3870M)に着く。コーラの流れは平原の広がりに拡散し、池のように広がって一見止まっているように錯覚するように流れている。


この水が我々にとって貴重な水源だ。幕営も終わったいるので早速着替えをして汗ばんだ下着から解放される。




夕食は餅入りワカメ入りのみそ汁、ヤク肉入りのカリー、ナスの煮浸し、それに塩昆布だ。本当に久しぶりに食事が美味しかった。明日から2,3日が今回のヤマ場。それを控えて体調が回復したのは救いだ。
ここまで来るとさすがに夜は冷え込む気配。それに備えてシュラフカバー、インナーシュラフ、羊毛の下着、靴下も穿いて寒さに備える。真っ暗な夜空を見上げると日中とはうって変わって満天の星。三日月が出ているので正面のラトンが白く浮き上がって見える。幻想的な雰囲気だ。写真に収めたいくらいだ。高山でのテント生活はどんなに冷え込むかと警戒したが、シュラフに入った瞬間を望めばこんな快適な環境はない。今まで経験したのはロッジ泊まりのトレッキングに比べて、遙かに快適なのが分かった。割高なのが玉に瑕だが。


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