SSブログ

ヒマラヤ・トレッキング=⑧カンチェンジュンガ・トレッキング(10月29日) [カンチェンジュンガ]

ヤンプーディンからトロンタンへ

10月29日(日)
昨晩は疲労困憊。あっという間に熟睡したようだ。何度かお腹の調子が悪く目を覚ます。5時半には起床、直ぐに朝食だが喉を通らない。お粥と作ってもらったみそ汁で軽く済ませる。天気は申し分ない快晴。今日の日程は高度を稼ぐのと水場がないのでかなりタフになりそうだ。多めに水を用意し7時15分出発だ。急登していくうちに気がつくと崖の縁を歩いていた。断崖絶壁の下にはオムジェコーラが白く渦巻きながら流れている。一寸スリリングなシーンだ。

しばらく進むと傾斜が緩くなり、目の前をコーラが岩を縫って流れている。2時間ほど経っただろうか、ここでアミールコーラの徒渉だ。飛沫が飛び散っている岩を足場にしながら対岸を目指す。流れが二つに分かれているので渡りきっても次がある。薄く黒く変色した岩がくせ者だ。ビブラム底もそこでは通用しない。うっかりすると滑ってしまう。ストックをバランスに使って漸くにして対岸に渡りきってホッとした。周りを見るとガイド達の方が私を見て緊張していたようだ。一息入れると急登の再開となる。10時半カルカがある。3000M弱の高度だ。腰を下ろせる岩を背にして一休憩。

丁度ここでヤンプーディンの集落を通過してデュピバンジャン(2620M)を経由して上がってくるトレイルと合流だ。眼下彼方下にはヤンプーディンの集落が箱庭のように見える。
ここで昼食になる。水場はないのでリンゴとフルーツポンチの缶詰だけ。といっても食欲がないのでそれで十分だ。ガイドやポーターは今日は昼抜きだそうだ。彼らの食事はダルバート(ネパール人の常食)には水と火が必要なので作るのが大変だということもあるのだろう。カブールとラトンが見えていたが一瞬にして雲の中に入ってしまった。なんか空模様が不安になる。日差しも雲の中。肌寒くなってきた。通る風も冷たい。
11時50分出発。今までよりは傾斜はきつくないがダラダラした登りが続く。石楠花の群生地を通り、その中に黒く焦げたようにして大木が何本も立ち枯れて立っていた。ガイドに聞くと山火事で燃えたとのこと。原因は落雷だろう、と想像した。確かにこのようなところで人為的な原因で広範囲に山火事になるはずがない。不用意にトレッカーが火をつけたとも思えないし、地元の人にとっては生活の大事な財産だからましてやあり得ない。落雷というのが穏当だろう。繁茂していた木々も疎らとなり高山の雰囲気になってきた。1時50分乗越に出る。ここがラミテバンジャン(3310M)だ。

現地人は当地をシッタレ・ダーダと云うそうだ。そこを乗越てトレイルは続いているはずだった。地図ではそうなっているのだが、目の前は大きな崩落によって道らしきものはなく、地獄まで続くような崩落の傷跡に変貌していた。遙か彼方前方に目をやると途中で遮断された道が見えた。
さてトレイルは、と右手の山を見ると新しい道が作られていた。ガイドブックではここからジャヌー(7710M)が見えることになっていたが、残念ながら近場には陽が差しているのに遠くの景色は雲の中だ。しかも、このバンジャン(乗越)からは下れるという気持ちが打ち砕かれてしばし呆然となった。
ここで挫けてもいられない。気持ちを入れ替えて地表に剥きだしになった木の根っ子を掴んだりしながら急峻な尾根を登る。ここも石楠花の群生地だ。来春の開花の準備を確実に始めている。蕾が膨らんでいる。しばらくするとピークを越して下りに移る。シェルパ族の人々だろう高地で放牧していたゾッキョを連れて下山して来た。その後を十頭近く牛の集団が続く。今年生まれたばかりの子牛が急な登りに足が動かず村人に抱えられて登ってきた。一瞬のほのぼのとした暖かさが心を和ましてくれた。下りは疲れた足には堪える。徐々に高度を下げていくが、なかなか先が見ない。そろそろ日も稜線の向こうに落ちて薄暗くなってきた。ようやくシンブワコーラが目の前に氷河からの水を集めて勢いよく岩を削って流れている。シンブワコーラはカンチェンジュンガのふところにあるヤルン氷河に源がある。

いよいよ目的地も遠くないことを表している。コーラ沿いの軽い登り道を歩いているとラメスがヤカンとコップを持って近づいてきた。テント場はそう遠くない。ホットジュースを一気に飲んで元気を取り戻しトロンタン(2995M)に向かう。
5時に到着。トロンタンはシンブワコーラを渡って一気に登ったところにテント場があった。ここには夏場の放牧用の番屋があってガイド、ポーターはそこに寝ることになる。

既に真っ暗ななかローソクの火を頼りに夕食だ。今晩は食欲もないのと準備の時間もないので日本から持ってきたレトルトの五目ご飯とポタージュ、そしてミカンだ。小屋の周りではヤクが2頭枯れ草を食んでいた。カウベルがガラーン、ガラーンと穏やかに鳴っていた。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。