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ヒマラヤ・トレッキング=⑦カンチェンジュンガ・トレッキング(10月28日) [カンチェンジュンガ]

ママンケからヤンプーディンへ

10月28日(土)
朝一番の関心事は昨晩下見(?)に来たマオイストの動きだ。6時半、外から「お茶が用意できました」との声だ。テントを開けて背を屈めながら出る。すでに洗面器に温かい湯が充たされて洗顔の用意がされていた。毎朝暖かいお湯の用意とチャイでスタートだ。王様気分だ。ひそひそ声でマオイストの動向を聞いたところ、下に泊まっているフランス人夫婦のところでやり取りをしているとか。間違いなく次は自分の番だ。ダワさんとの打ち合わせに従い現金はほとんど無い、1000ルピーなら支払える、ということで対応の準備。持ち物を全部チェックするらしいとのことで、1000ルピーを残して全財産をダワさんに預ける。朝ご飯を食べ終えて落ち着かない状態で出発の準備をしていたらいよいよお客さんが登場だ。ダワさんの通訳で二言三言やり取りをして予定通り1000ルピーの支払いと帳簿にサインをして持ち物検査は無しで終了。マオイストが政権に参加したのに相変わらずの仕草、今や盗賊と言われても仕方ない状況をどのように考えているのだ、と日本語で大人しく嫌みを言ったのだが、ダワさんはおそらくストレートには翻訳せずに話したのだろう、彼はそそくさと去っていった。

8時出発。平坦な農村風景に囲まれたトレイルを進むとしばらくしてママンゲの出口のゲートをくぐる。日本のありふれた山岳風景(急峻な険しい北アルプスではなく)と何も違わない。しばらくすると沢に向かってトレイルを下る。そして沢を越えるのだが、以前には使っていた吊り橋が朽ち果てていて川面までぶら下がっている(8時50分)。脇道で回避して先に進む。カベリコーラに向かっていくつもの稜線が襞を谷に向かって伸ばしている。その襞を登っては下るの繰り返しだ。

稜線を乗越す時には遠くに雪を被ったカブルーが望める。その瞬間だけがカンチェンジュンガを目指していることを実感する。何回か木橋を渡り、吊り橋を渡り稜線に向かっては下りを繰り返す。

なだらかな斜面に繁茂した木々の下を歩いていると、沢の音が近づいている。足元は湿地帯のように水が豊富に流れていて、そこには背丈ほどの芋の葉が伸びている。左手からのガッテコーラに架かった橋を渡ったその先にちょっとしたスペースがあった。今日はここで昼ご飯。丁度11時。トレイルの左手に大きな石が転がっていてそれを風よけにしてラジウスの用意だ。キッチンポーターは手際よく川面から水をくみ上げて先ずはお湯の用意をする。道の反対側の草地に、敷いてもらいシート仰向けに寝そべるとすぐにウトウトしてしまった。「どうぞ!」と声がかかる。

オレンジジュースをカップに入れて持ってきてくれた。あれ!いつもと違って熱くないね!と聞くと、わざわざ温めたジュースを川の水につけて冷やしてくれたそうだ。「あの川の水で作ったジュースはご免、お腹壊すよ!」と実は想像していたのだ。細やかな気遣いに改めて感謝。
低地での多湿が異常な発汗に繋がり体力をかなり消耗したようだ。食欲もますます後退した。先ずは水分補給ということでダトパニ(お湯)を待ちきれず、災害時用の浄化ボトルに川の水を注入、手で絞りながら飲料を作り飲んだが、煮沸していない水という不安が脳裏を過ぎったがそんなこと云う余裕もなかった。
コックの用意した料理には手をつけることが出来なかった。辛うじて数枚のビスケットを口にしただけ。体調は絶不調の極。最後に出して貰ったザクロが甘酸っぱくて唯一の救いだった。食べ終わってあと芯が残る不快感があったのだが・・・。

1時20分に出発。今日の目的地ヤンプーディンはそう遠くないはず。しばらく緩やかな登りを進むと1時40分、真っ直ぐ集落の中心に向かう道と左折して稜線に向かう急登の道に分かれる。ヤンプーディンは学校、郵便がある定住村として最奥のシェルパ族の集落だ。我々は集落の中心に向かわず、左手の急峻な登り道に入る。体調不良、食欲不振が重なって登りは堪える。腹の具合もいつものように最悪状態になってしまった。稜線を登っていくと右手遙か下に集落が見えてきた(1時50分)。大きな建物も見える。きっと学校なのだろうか。今まで通過してきたどの集落よりも大きいように見える。この一帯は耕作が盛んで両側には粟が実を結んでいる。農作業姿もちらほら。農村特有の家畜の匂いが漂ってくる。それは生活の匂いでもある。2時45分今晩の幕営地に着く。といっても農家の庭先にある平坦地に張るので自然の中での幕営にはほど遠い。

到着時には既にヨーロッパの十数人の先発隊が幕営を終えて散歩していた。そして夕方になろうとしているのにチキリ族のガイドが引き連れた8人の外人パーティーが昼ご飯をとろうとしていた。我々が明日目指すトロンタンから下って一気に我々が本日出発してきたママンゲまで下るそうだ。凄いスケジュールには驚いた。
夕方になると標高2000Mを超えているのでさすがに汗が冷えて寒い。汗でびっしょりの下着を脱いで乾いた物に取り替える。やっとすっきりして身体が温まる。夕ご飯は日本から持ってきたレトルトのお粥に梅干しを一寸口にしただけで箸が動かない。無理をしないでおこう。でも明日のラミテバンジャン越えはタフだと聞くので心配だ。大丈夫だろうか。(2829)


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