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ヒマラヤトッレキング・・⑧RENJO LA越えでゴーキョへ(エベレスト,ローチェ、マカルー、チョオユー) [ゴーキョー]

10月30日(日)ゴーキョ~ゴーキョ・ピーク~ゴーキョ

今日は一日ゆっくりゴーキョに滞留するのと昨日のレンジョ・パスからの眺望が余りにも素晴らしく達成感が横溢していること、さらに体力的にも疲労がたまったこともあって朝はのんびりと自然体で起床。結局9時には全員そろって朝ご飯をとる。ロッジの窓越からはどこまでも深い青緑色に染まったドートポカリの後には朝日を浴びたレンジョ・パスとそこから稜線が左右に延びている。左手側には真っ白に雪を頂いた無名のピークが連続してポカリの左手に延びている、右手には昨日下山してきたゴーキョピークがある。しかし不思議なことにこちら側には雪が積もっていない。目をこらして前方の稜線上を見ると辛うじて峠のタルチョーがはためいているのが見えるというか、心の目でそのイメージが浮き彫りになるような感じ。一瞬見えたという実感があったと思うと、その姿が幻だったのかと視界から消える。でも決して幻ではなかった。シェルパ族の鋭い視力でははっきり見えているとのことだから。湖上を嘴の黄色いカラスに似た鳥が飛んでいた。

食欲はないが達成感で元気が戻ってきた。10時40分にピークハントに向かう。ゴーキョピークは標高5,360mだから昨日越えたレンジョ・パスとほぼ同じ高さ。途中までは昨日下山した道をしばらく進む。直ぐに右手に分かれてしっかりしたトレイルを高度を稼いでいく。出発時にはチョオユーが見えていたのでピークでの眺望が楽しみだ。九十九折りのトレイルを一歩一歩登る。全員が軽装で防寒着と飲料、多少のおやつだけだから気が楽だ。4,000m級での登りは斜度というより酸素不足による呼吸障害に悩まされる。でも気分としては昨日の切実感に比べれば今日はいつでも撤退していい状況だから精神的には楽だ。空には部分的に雲がかかってきている。特に後方のチョラ・チェを越えた後にあるエベレスト方面が雲に覆われている。ピークに辿り着いても昨日のような素晴らしい景観は望めないかもしれない。

岩肌に枯れ草のねっこが散見されるだけの荒涼とした足元だ。決して早くはないペースだが確実にドートポカリがどんどん遠くになることでピークに近づいているのを実感。ピークは未だ目視できない。どこのピークハントでも肝心のピークは最後の最後に見えるものだ。山登りの一番辛い気持ちとの葛藤がそこにある。そこはまさにマインドコントロールが必要になる。

ピークに近づくに従って風が強くなり、体感温度が下がってくる。日は差しているのだがウインドブレーカーを着込む。1時丁度にピークに着く。天気は悪くないが予想通りチョラチェとタウチェは見えるのだが、その先にあるお目当てのエベレストやローチェそしてマカルーのピークは見ることが出来ない。ただ、チョオユーだけは雪煙を上げてくっきりと見える。ピークの向こう側には昨日越えてきたレンジョ・パスだ。
ここからははっきりとタルチョーが翩翻とはためいているのが見える。当然とはいえ乾期だから視界が良いというわけではないのを知る。今までのヒマラヤ山行では当然のように美しい景観を堪能してきたことがラッキーだったし、昨日の同時間帯に雲一つ無く完璧なに視界が得られたことも運の良さを感じた。

記念撮影をしてエベレスト方面の視界がきくのを期待して待機したが、雲は厚く視界が聞くタイミングは期待できそうもないので、早々にピークを去ることにした。足元には遠くドートポカリが不気味な深い緑紺色の底無し湖のように不気味に横たわっている。このポカリには魚は住んでいないそうだ。















その奥にはンゴズンパ氷河がチョオユーの方から押し出されてモレーンを作っている。雨期の後だからか氷河の上には砂が一面に覆っていて一見だけでは氷河とは思えない。それは所々に穴が開いて氷が頭を亜している。ただひたすら九十九折りのトレイルを下る。500m強の下りは膝の負担になる。 3時20分にはゴーキョに戻る。相変わらずチョオユーだけはピークをしっかりと見せてくれている。
今回は4人でクーンブの山に入ったが、私ともう一人はゴーキョからさらにチョラ・パスを越えてカラパタールに向かい、残りの二人は日程の都合があるのでゴーキョから直接ナムチェに向かう、ここで分かれて行動するのが当初の予定だった。しかし、私たちは正直言ってここからもう一度5,680mの峠越えに耐えうるだけの体調になっていない。二人とも腹の具合が最低で食事もろくに取れない状態が続くし、気持ちの上でレンジョ・パスの眺望が余りにも素晴らしかったこととチョラ・パスからの眺望に大きな違いがないとの話も聞いていたので挑戦意欲も後退してしまったのも正直な気持ちだ。

今日中に明日の進路を決めておかなければならない。ここで撤退するのか多少無理してでも計画通り進めるのか悩むところだが、二人の結論はここで無理をしないという決断だった。その結果、別行動になる4人だったがカトマンドゥに一緒に帰還することになった。

ゴーキョに着いて食堂で団欒をする。もう一度昨日越えてきたレンジョ・パスを目に焼き付けておきたい。達成感とは裏腹に体調は最低。夕食も簡単に済ませた。ゴーキョには4,750mにも係わらず7件のロッジがあるが、さすがにハイシーズンたけなわ。ロッジ裏にある広場に同じ色をしたテントが幾つも張ってあり、今晩の夕ご飯の準備、あるいは干してある衣類を片付けたりして忙しそうにしていた。

夜には満天の星。仲間の一人は星を眺めに凍てつく外に出て感動していたようだ。私は横着をして既に寝袋の中。そうそうに夢の世界に入っていった。


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コメント 1

マンゴー

真っ青な空と青緑色のポカリの上を鳥が飛んでいる写真は、
時間の流れがゆっくりなのが感じられます。

ピークから下のポカリの写真には、下に雲があって
不思議ですよね。
私は飛行機でしか雲の上に行った事がないので。。。

仲間の方が見た星空は、画像に残すことは難しいですよね。
見た人にしかわからない感動ですね。
by マンゴー (2006-03-28 00:01) 

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