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ヒマラヤトッレキング・・⑨RENJO LA越えでゴーキョへ(エベレスト,ローチェ、マカルー、チョオユー) [ゴーキョー]

10月31日(月)ゴーキョ~ドーレ


我々が泊まっているロッジはチョオユービューロッジだ。7件あるロッジの中では最もロケーションが良いポカリに面している。7時に起床。窓のガラスは氷が張り付いてガラス細工のように美しい。朝方の写真を撮ろうと表に出る。さすがに寒い。天気は快晴。ゴーキョピークの右手に見えるチョオユーの姿が美しい。

なだらかな稜線を従えてゆったりと構えた姿には畏怖とか恐怖とかの言葉は馴染まない。ただ相変わらず稜線そしてピークには雪煙が上がっているので相当な強風が吹き荒れているのが分かる。8,000M級で唯一専門家でなくてもチャレンジできる可能性を持っている唯一の山と言われている。ルートはチベット側からのアプローチになるそうだ。高度順応など決して楽な登山でないことは云うまでもない。
ポカリの湖岸に近づき何枚かの写真を撮る。すでにゴーキョピークに向かうトレッカーがピークを目指して登っている姿が見える。エベレストを眺望するためには大気が安定している朝方が望ましいので3時ぐらいから登るトレッカーが普通だ。彼らがエベレストの雄姿を拝めることを切に祈る。

幕営中のトレッカーも既にテントを畳んで出発の準備だ。我々も準備を整えて9時に出発だ。
暫くは湖岸沿いに平坦なトレイルを進む。前方左手にはチョラチェ、タウチェが望める。
とても個性的な山だ。どこからも間違いなく確認できる。ドートポカリから離れて先に進むとその右手を岩をぬってせせらぎが続く。しばらく進むと再びポカリが現れる。タボチェショと呼ばれているドートポカリより遙かに小さい湖だ。岩場の連続、草木は一切無い世界。雨期は違うのかもしれないが少なくとも乾期には生命の欠片もない。10時10分3っ目のポカリに着く。

規模はさらに小さく池だ。そこまでのトレイルはほとんど平坦な道のり。長閑な下山だ。岩や岩の欠片が散乱している中に岩を積み上げたケルンがある。賽の河原という感じだ。後ろを振り返ると徐々に姿を変えてはいるがチョオユーの姿を望むことが出来た。

10時35分、流れが勢いよく落ち込んでいる岩の間を跨ぎドートコシになる流れの左岸に移る。

下山する前方には少しずつ薄い雲がたなびき始めた。雲の上に突きだした形でタムセルクとカンテガが目に入る。この山も特徴的で識別がしやすい山だ。ここからは緩い傾斜を下る。前方にトレイルが二手に分かれているのが見える。左手に移り山肌をトラバースするような道が当初目指したチョラパスへのトレイルだ。もしかしたら歩いたかもしれないトレイルに思いを馳せながら我々は真っ直ぐに伸びるマッチェルモを目指す。 11時プラトー状の所で小休止。すぐ前にはログポンバの小屋が見え、そこからチョラパスに向かう道の分岐も見える。対岸にはいくつものカルカが広がり、その延長線上にはチョラ・チェ(6,335m)がある。すでにドートコシは遙か眼下になり大きな流れに変わっている。青い屋根の家々が集まったチュギマの集落も見える。 11時25分チョルテンを通過。11時35分小休止。パンガの集落の入り口にあるバッティーでツナ・サンドイッチとみそ汁を食べる。ここのパンはパサパサで喉を通らない。レモンティーで無理矢理流し込む。食欲は相変わらず細い。若夫婦と子供2人のバッティーだ。ドートコシは大きな渓谷になって対岸との距離はますます遠く、対岸の山腹にはポルチェを経由してパンボチェへそしてカラパタールに向かうトレイルが続いている。

12時35分出発。トレイルはヤクの移動や雨期には水路になっているのだろう深く溝が掘られていて一寸歩きにくい。我々が歩いている右岸はドートコシの西側になるので日陰になっているところが多く肌寒い。右手からコーラが流れ込んでいる。そこに向けて一気に下り1時15分。ここがマッチェルモ(4,410m)だ。コーラを挟んで2件のロッジがあるだけ。長閑な落ち着いた雰囲気の空間だ。ネパールの雰囲気というより西欧的テイストのリゾートみたいだ。

1時半には出発。峠にはためくタルチョーを目指して急峻な坂を喘ぎ喘ぎ登る。その先にはタムセルクが望める。1時半、対岸前方に大きな集落ターレの街が見える。ここまでのトレイルは大きな下りながら時には一寸した登りが繰り返す。

すっかり雲に覆われて薄暗く肌寒い天気だ。峠を越えると急にフラットな広がりになる。直ぐにルッツァ(4,360m)の集落だ。カンテガビューロッジで休憩。ここの経営者はクムジュンの人らしい。 2時20分に出発する。まだまだ4,000m級の高度だから一寸した登りになると一気に息が上がる。タムセルク、そしてカンテガが進行方向正面に見える。ドートコシは一層深い渓谷になり、対岸との距離はさらに遠くなる。両岸にあるトレイルはほとんど同じ高度で並行して下っている。対岸には正面にターレの街が広がっている。天候が安定していないのでタムセルクやカンテガのピークがのぞいたり隠れたりになったきた。
対岸の並行していたトレイルはこちらより高度を下げている。ターメからゴーキョまでのマイナーなルートに比べればゴーキョからの下山ルートはなるかに人気コース。トレッカーが相当行き交うのではと予想していたが、意外にも行き違ったトレッカーは日本人の中高年層の団体とイタリア人のグループ、その他多少の白人達とは行き交ったものの予想を下回る数だった。ガイドブックによればエベレスト一番の人気はなんと言ってもナムチェからカラパタールを訪れるルートそうだ。


3時にはラバルマ(4,330m)に着く。カルカに囲まれた静かな佇まい。定住する人がいると云うよりトレッカー対象のロッジと放牧時の番屋の町のように見える。天気はすっかり日差しが消えて灰色の世界。ここからはポルチェの街がはっきりと見える。対岸のターレは振り返ると尾根の陰に隠れてた。

ポルチェはこの一帯では大きい集落だ。印象としてはナムチェに次ぐ規模ではないか。急な下りでないので救いだ。ただ、なかなか高度が下がらない。まだ4,300mはあるだろう。気温は6度にまで下がってきた。3時30分急峻な下りの先にドーレ(4,110m)の街が見える。一気に下るとプーレコーラが流れ込み、その手前とその先に何軒かのロッジが点在している。ここが本日の宿泊地。コーラを渡った先をまた一気に登ったところだ。3時55分に到着。 この行程では迷うこともなく危険もないので、それぞれ各自のペースで移動していたため3グループに分かれて移動する結果になった。自分は先行したのでみんなの到着する姿を上部からカメラにおさめる。


















周辺には石楠花が群生している。気がついてみれば岩場から低草木帯に移っていた。春先には美しい景色が展開するのだろう。坂道に沿って建てられたロッジなので地下から入って寝室はその階にある。食堂は階段を上がったところにある。そこには玄関があってその前が坂道の上に当たるわけだ。全員食欲不振なので、今晩はマンバトルが作ってくれたみそ汁にサラダ、日本から持ってきたお粥に魚肉ソーセージのマヨネーズ和えで腹を満たす。食堂には3人のドイツ人グループとイギリス人の団体が居たが、何れも極めて下品な振る舞いに気分を害する。みんなで火を囲んで身体を温めていると、後のテーブルに座ったイギリス人はまるで邪魔者を排除するように怒りを露わにして”どいてくれ”という。その後も何かにつけて我々に侮蔑の視線を送り続けた。忌まわしい人種差別を肌で感じるほどの身の毛も弥立つ思いをしたのは生まれて初めてだ。日頃は教養ある白人との接点を経験してきたなかで欧米社会の底流に潜む歪みを感じた瞬間だった。我々全員が不快の中、結果的には彼らの不快な視線を無視して団欒に花が咲いた。身体が温まり一緒に部屋に戻り就寝につく。


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マンゴー

結構みなさん、大きなリユックを背負ってるんですね。
荷物を持ちながら高度の山を歩くのは大変な疲労ですよね。
しかも、体調がまだ良くないですもんね。

それから同じように山を楽しみに来ている人から
あんなことをされるとは、悲しいことですよね。
by マンゴー (2006-03-28 00:28) 

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