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ヒマラヤトッレキング・・⑤RENJO LA越えでゴーキョへ(エベレスト,ローチェ、マカルー、チョオユー) [ゴーキョー]

10月27日(木) ナムチェバザールからターメ

5時50分起床。窓を開けて外を見たが、見えるはずの山々が一面に立ち込めた霧で何も見えない。出発の出鼻を挫かれたトレッキングになるのかとブルーな気持ちになった。慌ただしくパッキングをしていると、ダワさんが食事の連絡に来た。「外を見てください」と言われて改めて窓に近づくと、さっきとうって変わってガスが上がり、前方にあるカンデの山々が聳え立っていた。ホットした。 朝食を終えて8時前にはロッジの前に集合する。既に多くのトレッカーが慌ただしく動き、朝方とは違った賑やかなナムチェに戻っていた。一旦ガスが切れたのに再びガスがかかってきた。今日はどんな天気になるのだろう。心配だ。ガイド達はこのことには全く歯牙にかけない。直ぐに良くなるよ、って一言だ。信じよう。

町を通り抜けゴンパの下を通りくぐり一気に上る。8時10分にはナムチェ・バザールを眼下に見渡せる町はずれだ。街は見えるが山々は見えない。一気の上りで汗が出てきた。直ぐに長袖から半袖に着替える。幸いガスが切れ始め時々カンデの山々のピークが望まれる。人里を離れてヒマラヤ杉とツツジなどの低木に囲まれた街道を前進する。8時半頃にはガスも上がり、進行方向左手にはルムディン・ヒマールの山々が聳え立っている。 8時45分シャンボジェへの道が右手に合流する。街道は平坦な楽しい道だ。数百メートルの眼下にはボテコシの流れが見える。道が広いのでさほど恐怖感はないが、さすがに迫力だ。

9時にはフルテェ(3390m)の集落に着く。ここにはチョルテンがある。9時5分まで小休止。後ろを振り返るとタムセルクが雲間からのぞく。フルテェにはヒラリーの寄付で営まれている森林保護のためのプロジェクトが街道の左手で営まれている。 9時15分マタポテェの集落を通過。段々畑が美しく耕されている。20分にはチョルテンのある峠で一休み。すっかり日射しも強く降り注ぎ天候の不安は消し飛んだ。右手を見上げると猛々しい岩肌を露出したクンビラが見える。タモの集落はもう直ぐだ。気がつくと森林限界を超えたのか高木(こうぼく)は姿を消し、低草木の世界に移っている。35分にタモ(3440m)の集落の外れに入る。それほどの大きな集落ではなかった。長閑なフラットな地形だ。左手にあるロッジに入る。2才か3才の子供がなんと歩行器を使って歩く練習をしていた。こんな田舎、を考えると都会との交流が日常的にされている家族であることが分かる。話を聞くと、ここのご主人はアマ・ダブラムの登頂をサポートしたガイドである証明書を持ち、6000m以上の高山をガイドする本格的なスキルを持ったガイドである事が分かる。当然今時はどこかでガイドをしているのだろう、彼は不在で奥さんがロッジを取り仕切っていた。お茶を飲んで10時05分出発。

タモには水力発電会社の本社がある。ここでの電力がナムチェ・バザールへ供給されている。街道左手のボテコシの水を利用している。もとはここに発電所があったのだが、1985年の洪水で上流へ移設されている。10時45分タモの町はずれにあるレストラン・カワンデビュー・エベレストで昼飯だ。街道から少し離れた小高い傾斜地にある。雪に覆われたカワンデ(6186m)が望めるレストランだが、今日は残念ながら雲がかかって視界に入らない。複数の白人グループが既にランチをとっていた。雲間から強烈な日射しが差すと汗ばむほどなのに、一旦雲に覆われると肌寒い。服装の対応が難しい。その上風が強く、最初に陣取ったテーブルが風の通り道にあったので風が遮られている下に下りる羽目になる。

11時45分出発。12時、対岸にタムテの集落が見える。15分渓谷は荒々しく、あちこちにランドスライドの傷跡が見られる。久しぶりにヤクのキャラバンとすれ違う。チベットからの一団だ。この街道を北上するとチョオユーの左手にあるナンパ・ラの峠(5716m)だ。その峠を越えるとチベットだから、多くのチベット人が商談のためこのルートを使って入国してくる。

12時20分タムテの町に入る。チョウタラで小休止。休んでいる前をターメの方から足早に下って来た20代そこそこの女性と青年(姉弟)が通りかかった。ナムチェ・バザールは遠いか、との質問に答えてその序でにどこから来たのかと尋ねると、ビックリすることにゴーキョからマルルングを経て下山という。なんとタフな連中だろう。しばらく遅れて父親だろうか、後を追って下山してきた。彼らはチェコから来た人たち。ソムデ(3580m)の集落を過ぎしばらくランドスライドの傷跡を眺めて先を進むと、ボテコシの対岸に渡る為の急坂があり、渡った先でも再び稜線に向かって九十九折りの上り道が見えている。

12時50分天気は重く雲がたれ込め、荒漠とした風景だ。一気に下ると狭く巨岩の合間を縫って踊るように水が流れている。手前の右手に大きな岩を均したところに見事な壁画が描かれている。鮮やかな色合いからして最近書き換えたのか、あるいは復元したのだろう。見事な壁画に圧倒される。チベット教のメッカ、ヒマラヤでも珍しい風景だ。前方の九十九折りの坂道を十頭弱のヤクが整然と下りてきた。チベットからのキャラバンだろう。尾根の左手裏側から回って流れ込んでいる川はターメコーラだ。13時10分チョウタラで小休止。一瞬だが、タムセルクのピークが覘いた。この一帯は上高地から徳沢に向かうような穏やかで苔むした桃源郷のように美しい。水が溢れて至るところで滝になったりせせらぎを作ったりしている。湿原のような雰囲気だ。

ここまで来るとターメは遠くない。13時35分ターメ(3750M)にあるロッジ・バレ-ビュー・ロルアリング・リゾートに着く。定住住民が住む最奥の集落だ。ここで北に道をとるとチベットだし、そのまま直進するとタシ・ラプチェ・ラ(5755m)越えのトレッキングコースがある。なかなかタフなルートだそうだ。その先はジリに向かうルートに合流する。我々はチベットに向かい、途中から右手に折れてレンジョ・ラを目指す。

荷物を部屋に置き、食堂で各自それぞれの思いで時間を過ごす。ここにはTVとビデオがあり、宿の子供達が一生懸命にボタンを操作している。なかなか写らない。外を見るとパラボラアンテナがあって衛星放送が受信できるようになっていた。時々気まぐれに写ったり消えたりしているうちに上手く繋がったようだ。何チャンネルかのTVが見えた。ただ、ネパール語なので意味は不明だが。

今晩は我々だけの宿かと思っていたら、4時頃だろうか50代の日本人が飛び込んできた。いかにも山男という出で立ち、彼は富山県山岳連盟の役員でネパールでガイドをしている。彼はなんとゴーキョからの下山だと言っていた。タフな50代だ。彼はやはり年取ったシェルパ族のガイドを連れていた。ずっと連れ添っている関係だそうだ。以心伝心なのだろう。そして彼らは詳細は不明だが、タシ・ラプチェ・ラ(5755m)でテントを張っている日本人仲間に合流するために急いでいたようだ。彼からネパールでの生活経験をいろいろ聞く。彼に言わせれば日本でも都会人が田舎に移ると想定外のフリクションを経験するが、それと同様なことが起きるそうだ。そんなことで決して心を許しあって付き合うと云うより、ある程度の距離を置いて付き合わざるを得ないと云っていた。そうなのかもしれない。客人でいる日本人は所詮客だから商売の対象だけど、ネパールにいたらライバルになってしまう。

今晩は焼きうどん、モモ、ゆで卵。マヨネーズ、ソイソースを味付けに使うと味が一層美味しくなる。餅を焼いてもらい磯辺にして食べたが、最高に美味しい、日本を思い起こすことになった。
ルクラで雇用したポーターはタマン族とライ族の青年だが、彼らは我々とほとんど接することもなくただただ運び屋をしている。ルクラには季節になると麓から仕事(ポーターとして)探しに常時200人ぐらいが居るそうだ。給与もカトマンドゥからのポーターとは違ってかなり安いようだ。といってもルクラはネパールのなかではポーターの料金が一番高いエリア。ガイドもルクラで調達できるが、その場合は多少の会話が出来るだけで資格も持ってない、地理には明るいだけのガイドになってしまうことがあるらしい。その点、確かにダワさんは歴史のこと、民族のこと、動植物のこと、当然山のことは的確に応えてくれる。

ここに来て分かったことは事前情報ではマルルンクで一泊、レンジョ・ポカリでテントを張りレンジョ・ラ越えをすることになっていたが、現在はマルルンクの先にあるランデンにロッジが出来て、レンジョ
・ポカリでのテント張りが必要無くなったことが分かる。昨今このルートが徐々に人気を博してきた結果なのだろう。
この日は全員体調も良く、久しぶりの日本人との出逢いに話が弾みついつい寝るのが8時半になってしまった。その日本人の話では今年のヒマラヤの天候が例年になく不安定だとか。確かにナムチェでもここに来るまでもすっきり晴れ渡る気配はなかった。ここでも地球レベルでの異常気象の影響があるのかもしれない。


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コメント 1

マンゴー

山の天気は変わりやすいものなんですね。
天気で大きく左右されるんですよね?

旅の所々に、日本食が登場してくるのでびっくり。
焼きうどん・・・・
食べなれたものがあると、“ほっ”としますよね。

また、人との出会いがあるのも旅ならではですね。
by マンゴー (2006-03-27 01:33) 

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