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⑪ヒマラヤトレッキング ランタン谷とコサインクンド  [ヒマラヤ・ランタンリルン]

12月5日(金)
ペディからタレパティ(-300m、+330m)

小屋のご主人によるとラウルビナパスあたりは昨晩の悪天で降雪がありパス越えが数日間難しい状態になっていると言っていた。まさに運というもの。一日のズレが計画を台無しにしてしまうリスクを実感する。昨日ラウルビナパスを越す時には越えられないという想定は全くなかった。図らずも慎重の上に慎重をと言う鉄則を忘れてはならないことを再確認した。
この先はその様なリスクはないだろう。これからの予定について昨晩ガイドと打ち合わせた。さいわい順調に行程を消化してきたので出来れば日程を短縮してカトマンドゥに早く下れないのかと聞いた。ところが彼は無理だの一点張りで埒があかない。どう見ても日程を短縮出来そうに思えるが、未経験の事だから強行も出来ない。話の裏にはどうも日程短縮となるとガイド料への影響を気にしている節があったのかもしれない。その辺を察して日程短縮でもガイド料には影響ないことを伝えてみたが相変わらずだ。
今日の行程は半日コース。急げば先に行けるはずだが、ガイドはタレパティでの日の出の眺望を見逃すのは勿体ない、ということで結局タレパティ泊まりとなる。昨晩下りてきた山稜を振り返るとガスの切れ間から山が覗く。


しかしあっという間にガスの中に消える。今日も不安定な気流だ。小屋の先は切り立った崖になっている。左手の深い谷に向けて一気に下降する。岩が濡れたところで凍っていて滑りやすくなっている。ハラハラドキドキ、手を添えて慎重に下る。






相変わらず雲が厚く足下をガスが這っていく。下りきって丸木橋を渡り左手に山を見ながらどんどん下る。周囲は竹が増えて群生している。日本にもありそうな雰囲気の山道を大きく下っては少し登る、それを繰り返して下っていくと2時間一寸でゴプティ(3440m)の小屋に着く。そこで昼ご飯をとる。幸い天気は悪化する心配はないようだ。さらにゴプティから30分は下っただろうか沢に出る。山容は穏やかな姿に変身。緩やかに右下がりの斜面の平坦な部分を横切っていく。そして楽しい緩やかな上りが続く。周りにはヒマラヤ特有のシャクナゲの群生が見られるようになる。しばらくするとなだらかな平坦な空間が拡がる。日本的に言えば神の田圃ということだろうか。ホットする空間、天然の庭園といえる穏やかな景観。晴れていたらもう少しは違った印象になるのだろう。でもガスが流れている方が幻想的かもしれない。多少のアップダウンを続けて小高い道の先に小屋が見えてきた。
ゴプティから2時間ほどでタレパティ(3640m)に着く。見上げた稜線の下に何軒かのロッジがあり、さらに稜線に沿って数軒の小屋がある。下の方の小屋は無人のようだ。我々は稜線上にある小屋に入る。ここでもほとんどトレッカーらしき陰はない。ガスが相変わらずだ。視界はきかず肌寒い。取り敢えず部屋を確保して囲炉裏のある部屋に行く。
ストーブには火の気が無く、寒々しい。ガイドに頼んで火をおこしてもらう。久しぶりのゆっくりした日程なので身体を休ませてやらなければ。ウトウトしたりガイドブックと睨めっこ。天気が悪く外に出て景色を見られるわけでもないのでじっとグダグダ。さすがに退屈な午後になってしまった。3時過ぎ頃か、イギリス人のカップルが入ってきた。彼らもヘランブー・サーキットで歩いている人たちだ。二人の関係についつい気が回ってしまう。気高い、一寸傲慢そうな女性とそれに傅く男性。男性は既に相当消耗しているようで(おそらく高山病の前兆)体調が悪いのに我慢して対応している姿に同情もし、二人の関係に気を揉みながらハラハラの連続だ。
いつも感心するのだが、白人は分厚い本を読んだり、チェスに興じたり、山にも自分の世界を持ち込んで楽しんでいる。我々はこんなときこそ普段の生活から距離を置いて非日常性を堪能したいと思うのだが、人それぞれというか、白人と日本人の違いなのか。
ヘランブー・サーキットとはカトマンドゥ郊外の山岳の穏やかな田園(棚田)地帯を散策する楽しいトレッキングのこと。そこを数日がかりで訪ねるコースで日本流に言えばハイキングとも言えるか。と言うことはここまで来れば山岳というより徐々にコミュニティーに近づいていることを示している。止まるような時間の経過に時間をもてあまし、にもかかわらず身体はホットしている不思議な時間が経過していった。
ガイドやポーターも一息入れているようだ。ロッジの住人達のたまり場でトランプをしたり、アルコールを引っかけて盛り上がっていた。
天気が良ければここからは眺望がきいてエベレスト方面の山々とかが見られるし、夜ともなればカトマンドゥ郊外の灯りも見えるとか。風も強く吹き、天気の回復の兆しは見えない。明日の好天を期待して床につく。


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マンゴー

私も普段の生活よりも非日常を堪能しますね。
日本では常に時間が速く流れていて
止まらない社会の中にいるように思います。
こうゆう時ぐらいは、自然に過ごしたいものです。
by マンゴー (2006-03-28 01:06) 

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