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⑬ヒマラヤ・トレッキング(アンナプルナ・アラウンド)(2004年11月) [アンナプルナ]

11月18日(木)  マルファからガサへ

寝室は丁度街道に沿った部屋で、その道の高さから一寸下がった位置にあった。窓を開けると丁度目先に路面がある。早朝早くから牛の鳴き声を夢現のなかで聞く。しばらく経ってからか蹄の音がだんだん近づいてきては通り過ぎていった。間違いなくポニーのキャラバンだ。数十頭が下へ下っていった。

食堂に行くと既に多くの白人トレッカーがテーブルを囲んでいる。テーブルの下には炭がおこされていて足下を暖房していた。部屋の片隅に水濾しのサーバーがある。多くのトレッカーはそこで水筒に水を入れている。飲料水なのだが、ダワさんに言わせれば日本人には無理だ、止めるように言われる。ここでも日本人のヤワさを見せつけられてしまった。

混雑のためか予定通りには朝ご飯が出てこない。予定を越えて出発は7時50分となる。天気は芳しくない。厚い雲ではないが全天を覆い、ニルギルが雲の切れ間から時々覗くだけだ。町はずれになるとりんご畑やキャベツなど野菜が栽培されている。当地はある程度は自給できる恵まれた環境にある。8時15分トゥクチェ(2590m)の町との境界を越える。柳の木(?)がぽつんぽつんと生えている。道は対面通行できるような 広い道をオートバイが後ろから走ってきた。整地されていない凸凹道を巧みにかわし臭い排気ガスと砂塵をまき散らして走り去る。何故道が通じていないのにオ-トバイなのか不思議に思えた。9時20分トゥクチェの町のゲートを通過する。

9時55分休憩して出発。この町も中心部は石畳が敷き詰められている。町の中心地だろうか大きな広場があり、小学生から中学生だろう、ボール遊びなどで戯れている。右手には中学校がそしてその隣にはゴンパがある。街道は広場を越えて左手にずれた形で続いている。マルファからトゥクチェ一帯はタカリ族のエリアだ。 町を過ぎると再び河川敷を道を探しながら対岸に渡る。正式な道は下流に向かって右手を辿るのだが、乾期は河川敷を歩けるので楽が出来る。10時半上空を飛行機の爆音が聞こえてきた。時間的にポカラからジョムソンに向かう飛行機だ。飛行機で下りることが可能なのにわざわざ歩いているのかふと思い、ばかばかしくなったりもしてしまう。次々と飛行機が上空を通過していく。冷静になれば飛行機では味わえないカリガンダキ沿いの佇まいを見ることが出来ない。そう考えると歩くのも満更ではない。 河川敷を板を渡した程度の橋を渡って再び夏道に戻る。

10時40分前方に小さな部落が視界に入る。10時40分コバン(2560m)の町に入る。町と言っても数軒の家があるだけの小さな集落だ。直ぐ前は広い河川敷で柳の木がぽつんぽつんと植えられている。11時には再び河川敷の道に移る。しばらくは河川敷の中を進む。丸太を二本渡しただけの橋をポニー達は見事に渡っていく姿にはビックリだ。またジョムソン行きの飛行機が飛んでいった。 11時30分川幅が急に狭くなり、対岸の夏道に移る。一気の登りに息が上がる。しばらく進むと眼下に再び広い河川敷が眼に入る。

そして対岸からコーラが流れ込み、その上流には滝が落ちている。河川敷が広いこともあるのだろう、マルシャンディ川に落ち込む滝に比べると大した規模ではない。急な下りを降りきると11時50分、村に入ると数件のバッティがあり、左手のバティに入る。コヘタンティー(2995m)の村だ。

どう見ても美味しい料理が出てくるとは思えない雰囲気。料理を作れそうな大人がない。無難な料理、ハッシュドポテトとヌードルスープを頼む。そこには先客がいた。しかも日本人の女性とガイドだ。最初はお互い様子を窺うようにしていたが、声をかけると気さくに反応があった。彼女は大阪から来た美容師さん。ガイドはシェルパ族の若者だ。彼の日本語は流暢で見事な話し言葉を使う。彼女からは今までに行った思い出話を聞く。チベットにあるカイラスに行った時の思い出には最高の賛辞があった。カイラスのことは初めて聞いたが、チベットのさらに辺境にある6600M級の山でチベット密教、ボン教、ジャイナ教、ヒンズー教の神々の聖地だそうだ。彼らはこれからムクティナートに向かう。再会を約して1時に出発する。

再び上り下りを繰り返し、1時15分眼下にカロパニ(2530m)の町が見える。カリガンダキ川はしばらく広い河川敷の中だったが、一気のつづら折れの下りのあと、川幅は急に狭くなりその先にある吊り橋を渡るとカロパニの町に入る(1時30分)。1時45分カロパニの町の中心を通過、しばらく行くとカリガンダキ川が左に折れている丁度その正面に街が見える。正面の稜線越えに赤茶けたお椀を伏せた山が特徴的だ。2時、小さな集落を通過してしばらくして行くとレテ(2480m)の街に着く。ここではポリス・チェックがある。峠を越すと2時25分、左手にニルギルを源流とした大きなコーラが合流している。カリガンダキ川の右手を一気に降りると右手から合流するレテコーラに架かる吊り橋を渡る。3時05分ナンの村に着く。結構ハードな移動で息が上がる。深くえぐられた深い谷、見上げるとランドスライドの中腹に作られた人一人通れるような細い道をポニーが一歩一歩前進している。

遠くから見ているとよくぞ滑落しないものだと感心する。現実には事故は決して多くはないが、年に数件はポニーの滑落事故はあるそうだ。対岸では数百メートルに渡ってランドスライドの傷跡が痛々しい。ここでもスケールの大きさを感じる。3時20分パークという小さな村を通過。3時30分カイク(2085m)の村だ。ここからはニルギルのピークが雲の切れ間から望められる。なんとかニルギルの山容を写真に納めようと4時20分迄ガスの切れるのを待ったが、残念ながら良いチャンスには巡り会えなかった。

3時30分には目的地ガサ(2010m)の街が見える。狭い谷間の中一寸した平坦な地域の中にある集落だ。ロッジ(フロリダゲストハウス)は街の入り口に位置し、街道の左手にある。まずレストランがあり、数人の外人トレッカーがいた。中に入ると中庭があり、その先に宿泊の棟がある。日が差さない一日だったのでさすがに夕方は肌寒い。5時半に夕食を摂る。今晩はロシアンサラダとマッシュルームスープとカリー。7時半には就寝する。


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