メラピーク(6654M) アマラプチャ・ラ(5845M)を目指して [メラピーク]
登頂断念
11月9日
さすがにここに至って体調不良を乗りこえる自信がなくなった。それでもなんとか高度の記録更新だけは実現したいので早朝に起きてハイキャンプをまず目指す。標高が高くなると午後には強風が吹き荒れるので行動は午前中に大凡の行動を完了する必要がある。そういうことで朝3時起きでハイキャンプに向けて起床する。
4時には出発する。宵の明星がきらきらと輝きを放っている。ガイドは「ガルチェン」を読んでいた。
さすがに寒さは厳しい。以前の経験から指先の痛みに悩んだこともあったのでインナー手袋も準備してきた。しかしそんなことをしても指先の痛みは抑えることが出来無いほど寒い。でも風がないのが救いだ。このうえ風が吹いていたらどんな地獄なのかと恐ろしさを感じた。昨日雪渓を乗越した尾根まで登り返し、雪面を今日は左に登っていく。
ここからはなだらかな斜面を登るので肉体的な負担はそれほどではない。稜線の後ろには朝日が射して赤く焼けた空が見える。
ここからはなだらかな斜面を登るので肉体的な負担はそれほどではない。稜線の後ろには朝日が射して赤く焼けた空が見える。
ガイドとザイルでトレインで登る。指先の痛みだがインナーを使っても避けられないのでなんとか方法は無いのかとトライをしてみた。私はストックを指全体で握りしめるのだが、掌を軽く握るようにして使って見たら指先の痛みが緩和した。新しい知恵を実感した。
確実に視界が広がり、後方を振り返るとネパウ(信仰の山で登山禁止)が見える。以前マカルーに行った際、反対側を見ながら登ったことを思い出す。
右手の稜線越えに見える山がアマダブラムだ。特徴ある山だがここからは特徴のない山だ。
前方を見上げるとメラピークとメラノースが見える。
三角錐の美しいマカルーも見える。
いよいよ目的の一つであったエベレストが真ん中に見える。左手はヌプチェ、右手がローチェだ。
ここはハイキャンプ(5800M)に着く。傾斜した岩場にへばり付くように設営されたテントが心許ない。
左手のネパウの右手奥にカンチェンジュンガが見える。
ヌプチェ、エベレスト、ローチェ。最高の景観。
ヌプチェとエベレスト。
ハイキャンプをあとにして登れるところまで登ろうと最後の力を振り絞って上を目指す。6000M地点で折り返す。
傾斜は緩いのだが登りより下降は足に負担がかかる。
今日はBCでキャンプ。
この先、計画ではアマラプチャを経由して下山する予定だったが、著しい体調不良と技術的にはメラピークとは違ったはるかに困難なトレイルになるので悩む以前にすんなりと断念して下山を決断した。アマラプチャはマカルーからの帰路として計画したが、天候悪化、予想通りの天候悪化、大雪に閉じ込められる寸前になった因縁のパスだ。縁がないをいうか危機回避の警告として受け止めろ、ということなのだろう。
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