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アッパードルパ(ドルポ)トレッキング 20デュナイへ・そのⅠ [秘境アッパードルパのトレッキング]

8月18日(日)
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今日はレストデイだ。トレッキングを開始してからの天気を振り返ると毎日がめまぐるしく変化する。雨が降らなかった日はないし、雪も降ったし、ピーカンで日陰を求めるほど暑い日もあった。アッパードルパのトレッキングは7月、8月がベストと言われている理由に9月以降は降雪のリスクがあると言うことだった。それとモンスーンの影響がないと聞いたのだが、どうもそれは相対の話でピーカンの毎日が約束されているわけではないらしい。昨日も日中は快晴だったが、夜には小雨が降った。大なり小なりモンスーンの影響はあると言うことだ。その点はカラコルムとは違う。
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曇天のなかツゥボ・ゴンパに行く。湖の右に沿って20分ほど歩くと左流れの傾斜地に建っている。雲も切れてエメラルドグリーンの湖面に逆さに写った山、ゴンパが美しい。実は昨日午後に訪れるつもりでいたのだが、ラマが3時過ぎないと戻らないと言うことで夕方に訪問する予定にしていた。ところが午後になってその肝心のラマが帰寺しないと連絡があって今日になった。
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寺の門前で大声で呼べども誰も出てこない。そこでさらに奥にある建物に向かって大声で叫ぶと、窓からラマが顔を出す。やり取りの結果、ラマは未だ帰ってないと言うことだった。あなたはと聞くと鍵を持っているラマ(おそらく上席者)がいないので本堂はあけられないとの返事。
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途方に暮れていたら自分が修行している建物でよければ入りなさいと招かれる。背を丸めて中に入る、急な梯子をよじ登ると彼の修行する部屋になっていた。鼠でも出そうな薄暗く、薄汚い部屋だ。灯明が細々と光を放っている。

彼にこのゴンパの由来を尋ねる。500年前にはすでに建立されていた、カギュー派のゴンパだという。そういえばネパールで2番目に古いといわれるシェーゴンパも500年目と言っていた。史実がどこまで正確に語られているのか不明なので聞き流した。いずれにしてもそれなりの歴史を背負ったゴンパなのだろう。彼はシェルパ族のラマだと言っていたが、シェルパ族のダワさんから見ると疑わしいらしい。ネパールではチベタンは余所者扱いをされるので自分の出自を他の部族と語ることもあるらしい。
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帰りにチェックポイントに立ち寄る。相変わらず鍵が掛かっていて不在だ。隣にあるネパール軍基地の人が当分不在だと言ってくれた。
午後にドルチさんに付き添ってもらってリングモガオンを散策する。この一帯になるとさすがに多くの外人トレッカーが来るので物珍しさ、好奇心の視線は飛んでこない。ポクスンド湖を境にして下界に降りたと実感が湧いてくる。
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ここから先はロウワー・ドルパエリアになる。リングモ・ガオンは秘境のスタート地点であって、私にとっては秘境の終着地でもある。

明日から二日がかりでチェプカ(2838M)を経由してデュナイ(2140M)に向かう。今回のトレッキングはこれで山を越したことになる。

8月19日(月)
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一晩中雨音がしていた。今朝もしとしとと雨が降っている。移動には支障はない。7時10分出発する。しばらくガオンのなかを通り過ぎ、コーラ沿いのトレイルになる。ポクスンド湖の水をはき出しているコーラなので、すごい勢いで流れている。さらにしばらく行くと右手から山が迫ってトラバース気味に高度を上げていく。コーラの音も遠ざかっていく。
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(クリックすると大きい画像になります)
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8時20分リッジを越えて下りになる。左手反対斜面との間の広い谷間にもうもうと水しぶきが上がっていた。滝があるのだろう。隠れてその実態は見えない。さらに先に進むと前方に小さな小屋が建っている。展望台だ。ポクスンド湖まではトレッキングルートとしてそれなりに知られているので、行き先表示などトレイルの整備もよくできている。

下るに従って滝の全貌が見えてくる。実に見事な滝だ。それなのに地図にも記載がない無名の滝だ。先行していたポーターたちもこの展望台で景観を堪能していた。ここで一息入れて写真を撮りまくる。滝はとても被写体としては難しい。アップにすればどこの滝か分からないし、全景をとると絵はがき的なってしまう。といって朝日、夕日を待って変化を待つほど余裕も無いので結局はごく普通の写真になってしまった。

対岸の斜面にはトレイルが見えている。それは以前トキュで分かれたトレイルで、リングモガオンからトキュを経由してドゥ・タラップに向かっている。
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一気の急降下で前進する。そのうちなだらかな下りになって9時20分フェレマガオンの外れに着く。ここからデュナイ一帯は以前マオイスト(毛沢東派)の影響下にあって通過することさえ危ぶまれたエリアらしい。さいわい今日ではマオイストは政権の中枢に入ったので危険地帯ではない。トレイルの左手にはかつてネパール軍の前進基地で今では廃墟化した建物の残骸が痛々しく残っている。きっとネパール軍は命からがらでここに駐留していたのだろう。私も何度かマオイストに遭遇して献金を要求された経験が思い出された。
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8時40分チュヌアールの集落に入る。ロッジもあるが人ッ気のない寂れた感じだ。ここには診療所があったり、ボーディングスクール(現地では英語教育をする学校のことを指していて、お金持ちが通っている)があるのでこの一帯の中心地のようだ。
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10時サムドュワのガオンを通過。ここにもロッジがあるが人ッ気がない。先に進むと右手からコーラが合流する。その手前に橋が架かっている。この先を進むとララ湖、ジュムラに通じているトレイルだ。

しばらくコーラに沿ったなだらかな下りが続く。10時半右手に仮設テントが張ってある。二人の若い女性がせわしくあれこれと動き回っていた。バッティーなのか分からないがラクパさんが声をかけてここで一息入れる。チベタンティーを頼む。
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10時50分樹林のなかで大勢のトレッカーがランチをしていた。白人の一行だ。女性が半分以上の10数人のパーティーだ。ガイドが先方のガイドと握手をして親しげに話が弾んでいる。またまたシェルパ族のガイドでダワさんの知り合いだった。どこからですか、とトレッカーから質問が飛んできた。日本からと答えると自分たちはフランスから来たと答えが返ってきた。彼らはジュムラまでへりをチャーターしてこれからポクスンド湖に、そしてふたたびジュムラに別のトレイルで戻るサーキットらしい。
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ところでお仲間は、と質問されて一人だと答えるとびっくりしていた。びっくりの意味が今もって理解できないが、彼らにとっては単独行動が奇妙にあるいは贅沢に写ったのかもしれない。
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11時20分レチ(2940M)に着く。マガール族の集落で、人の行き来が久しぶりに見られる。コーラまで降りて対岸に渡る。トレイルから離れた広場でランチだ。今日はレトルトのソースでミートソース・スパゲッティー。食事中にまたしとしとと雨が降ってきた。木陰に避難して食事を済ませる。
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12時20分雨具をつけて出発する。コーラ沿いのトレイルは激しい沢なりの音で会話が途絶えるほどだ。時々高巻きはあるが水平か若干の下りになっている。狭い谷間を右に左に何回か橋を渡って3時に左岸に移動する。ポクスンドコーラは水量も多く、手すりのない橋を渡る際にはさすがに緊張した。全く人ッ気のないエリアの連続で休む場所もない。
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蝉の声が聞こえてきた。地味な鳴き声でよほど耳を傾けないと聞き損なう。何種類かの蝉が鳴いているようだが、日本の蝉のような特徴ある鳴き声ではない。改めて日本の蝉が繊細でそして情緒豊かに鳴くのを確認しすばらしい日本を再発見した。

3時40分にはチェプカ(2836M)のガオンに着く。トレイルの左手に今日の幕営地がある。ここではロッジも営業している。
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