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鳩山退陣に思う [思いのまま]

予定されたこととはいえ、鳩山退陣そして小沢幹事長の辞任は一つのケジメとして想定されたことだが、鳩山前首相の就任そして退任挨拶には今までの宰相とは全く違った味を実感した。これだけ明日に向かってロマンを語った人はいない。

「国連気候変動サミット」での環境政策への提言、そして沖縄の基地、「子供は社会の財産」、脱ダム宣言に見られる「箱から人へ」などなど、そのメッセージは拘泥の呪縛から離れられない我々に強烈な刺激を与えてくれた。

ヒマラヤでは氷河の異常な融解で、目に見えるスピードで氷河は後退し、融け流れ出た水が氷河湖を作り、いつ決壊するのか分からない、そんな危機が迫っていても生まれ故郷を去れない人々、それが温暖化の結果であることは言うまでもない。

一時のカンフル的効果はあっただろうが、目的もなく箱物を作り、今ではその維持で悪戦苦闘する地方自治体が日本中にどれだけあるだろうか。

そして沖縄問題は我々日本人とりわけ本土の人間が負わなければならない負担を戦中、戦後一貫して沖縄に押しつけ続けてきた矛盾を明確に意識させた素晴らしいメッセージだった。

県外、国外と言った話は沖縄の犠牲を解放するにはまずは県外が議論されるだろうけど、現実には各県の知事は及び腰。先日の全国知事会では多くの欠席者が出て、鳩山前首相の懇願を自分の問題としてまともに受け止めようともしない、こんな無責任な知事ばかりではとても県外は無理だった。だとしたら、国外しか解決策は無いと言うことになる。

それを主張すれば日米関係が拗れるのは必至。今回の問題の本質は日本がそろそろそこまでの覚悟をして、新しい日米関係を探る新しい時代を迎えるべきだというメッセージだったと思う。しかし、この点については鳩山前首相は明らかにプロの政治家として失格であった。ここに及んで、さらに勉強したら沖縄にある基地撤去は日米関係に亀裂を作り、基地の存在は東アジアの平和にとって不可欠だということで、あっさりと前言を翻し、元の黙阿弥になってしまったことだ。

でも辞任のスピーチから想像するに、彼は最後まで新しい日本を目指し、チャレンジをし続けようとしていたように思う。従来の旧タイプの政治家とは明らかに一線を画する新しい政治家像を示してくれた。惜しむらくは彼を取り巻くブレインに恵まれず、一人で裸踊りをさせられてしまったことだろう。

このような政治家が次にいつ頃現れるのか、あまり希望が見えない。後世から振り返ると、もしかしたら惜しい人を追い出したと言うことになるのかもしれないが・・・・・。

さらに政治を考える時、大衆迎合を前提とする政治は真の民主主義と言えるのだろうか。大衆の意志で政治を制御し、質を担保するには大衆の民度に依存しなければならないが、今日までの日本ではそれにはほど遠い。それに大衆に強大な影響力を及ぼすジャーナリスト、マスコミの程度の低さには目を覆うばかりだ。まさに大政翼賛会を否定しながら大政翼賛会的になってしまっているとしか思えないマスコミでは、大衆に建設的な議論を提供する力はないし、否、悪影響しか無いのが現実だ。
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