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バルトロ氷河とK2⑨ コブルジェ~ウルドゥガス [バルトロ氷河からK2へ]

7月31日(木) コブルジェ~ウルドゥガス(4200M)

よくよく調べてみると当初計画の「パイユから一気にウルドゥガス」はかなり強行軍であることが分かった。トレッキングガイドやブログを見るとコブルジェで一泊しているケースが多い。確かに昨日は一日行程を短縮したという気持ちでいたので甘く見ていたが、いやいや現実は相当タフな行程だったということ。しかも快晴に恵まれたので疲労感は想像以上だ。

その分、今日のウルドゥガスは楽な行程になるはずだ。日の出を待ち構えていたが、朝焼けの色付きが鮮明ではない。かすかに白いベールを被っている。昨夕もあかね色に染まらなかった。ネパールのハイシーズンとは違って夏場だという事なのだろうか。
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5時過ぎに起きたが、ポーター達は未だ眠りのなかだろうか。物音一つしない。石が積み上げられた囲いのなかでビニールのシートを被るだけで夜を明かしていた。しばらく経つとクッキングポーターが目を覚まして朝ご飯の用意を始める。昨日は氷河の溶けた水がたっぷり流れていたのに今はチョロチョロと流れるだけだ。顔を洗おうとしてもすくえない。冷え込んで凍っていることもあるが、ここまで来ると気温の高低に影響されて氷河から融け出す水量に直接影響与えているようだ。
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今朝はほとんどのポーターをパイユに残してきているので、用意される食事は軽い食事だ。7時40分には出発する。少しずつ氷河へ降りていく。重なり合うように岩が続くなかその合間を縫って進む。この先はまさに氷河の真上を歩くことになる。氷河は瓦礫や砂に覆われているが、ここに来ると時々氷が剥き出していたり、氷壁の縁を歩いたり、眼下には氷を溶かしてくり抜かれた大きな氷穴が見られる。所々で氷河上を溶け出した水がせせらぎを作って流れている。
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後方左手には朝日を浴びて岩肌を赤く染めているトランゴ・タワーとその山群が見事だ。右手前方はマッシャーブルム山群になるが、ここからは本峰は望めない。バルトロ氷河では岩や瓦礫に代わって小さな氷塔(セラック)が砂に汚れてはいるが目に入ってくる。前方にブロード・ピークの一部が見え始める。8時半にはブロード・ピークの全貌が視界に入り、右手にはマッシャーブルムの一部も見える。
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標高も稼いだので今までとは違って氷河上を流れるせせらぎが早朝の冷気を肌に感じる。身体への負担は昨日までとは全く違って身が引き締まる感じで気のせいか身が軽く感じられる。10時半には前方右手の小高いところにウルドゥガス(4200M)のキャンプサイトが見えた。右手に大きな氷河湖を足下に見ながらビルの屋上から見下ろすような迫力を感じるその氷河湖の氷壁の上を進む。いくつかのアップダウンを繰り返した後、パキスタン軍の銀色の円球兵舎の横を通り過ぎてさらに急な坂道を詰めると今日のキャンプサイトだ。到着は11時半だった。
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キャンプサイトは大きなそそり立つ岩場にへばりつくような地形になっている。何段かになっているテラスにテントを張るので、早い到着になった我々は水場に近い快適な場所を確保出来た。1時過ぎになってパイユから移動してきた残りのポーター達が全員到着する。各自思い思いのテラスに荷物をおいて一段落だ。彼らは朝5時にはパイユを出発して一気にここまで来たそうだ。ゆっくり時間があるのでシャンプーをしたり、郷土の歌に思いを込めて歌い始めたりしている。
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相変わらず日差しは強いので日中の居場所には困る。テント内は強烈に暑いので、岩陰を求めシートを持って移動する。ウトウトしているうちに日差しが移動するので再び強烈な日差しを避けるために移動しなければならないその繰り返しを何度したことだろうか。
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一段高いキャンプサイトから今日来たトレイルを振り返ると、さっき通り過ぎた氷河湖とその背景にある夕陽を背に受けたのこぎり状のシルエットになったトランゴ山群がとても美しい。日が落ちていくと水墨画の世界になる。無彩色の世界も美しいが、ここでも何故か夕陽特有の色づきがない。気分的に落ち着いていたのでウオークマンでベートーベンのクァルテットを聴きながら文藝春秋を読む、こんなゆとりも先にも後にもこの一瞬だった。
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