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インダス川を遡行して・・ナンガパルバットとバツーラ③ [ナンガパルバットとバツーラ]

7月29日(日)
アボッダバード~ベシャームへ

追記:この街にビンラディンが潜伏していて殺害された。

夜半から雨音にしばしば睡眠を妨げられるほど激しく雨が降り始めた。それに雷の音も加わった。5時半には目を覚まし外を見るが、激しい雨足は相変わらず。今日は車だけの移動なので雨降りでも関係ないと高を括っていたが、それが原因で大幅に計画変更を余儀なくされる羽目になる。7時に予定通り出発する。しかし、雨は益々激しく降り道路は冠水しまるで川のように流れ、どこが道でどこが歩道なのかも見分けがつかない状況になっている。車が走ると水しぶきを跳ね上げていくが、歩行者への配慮はお構いなしだ。早朝で道路は空いている。順調に走っていたが、20分も走らないうちに突然道路が渋滞にはまる。しばらくするとトラックに乗せた重機が雨が原因で道路に落下して道を塞いでしまったとのことだと

人伝えに状況が分かってきた。ブルが来て復旧するには相当の時間が掛かるとの見込みで一旦ホテルに帰ることになる。戻る途中右手にあった総合病院に見学のために立ち寄って貰う。まだ診察時間前なので患者、その家族などが右往左往しているが、スタッフはほとんど見あたらなかった。医療制度などガイドに質問したが、埒があかず状況確認は断念する。暫時病院内を見学した後、道路状態を確認するために再び折り返して前進してみる。

しかし、前回よりもかなり手前で渋滞にはまりやむを得なくお茶小屋で時間稼ぎをすることにした。結局はそれから4時間近くそこで待機することになってしまう。イスラマバードで買い込んだマンゴーを食べる。日本ではマンゴーと言えば特別な果実として扱われているが、当地では庶民的な果実だ。ただ、高級品は欧州に輸出されてパキスタンには二級品以下が流通するそうだ。ところが、PIA(パキスタン航空)が欧州当局から整備不良を理由に乗り入れ禁止となったために輸出が困難になり、その結果一流品が国内に出回るようになり、皮肉な結果だが国内で美味しいマンゴーを食べることが出来るようになった。地元で熟したものを食べて初めて本来の味を知れると言うことだろう、とても美味しかった。売店ではペプシ・コーラ以外にはスプライト(パキスタンではペプシが市場を押さえている)そしてマンゴージュースが売れ筋のようだ。喉を潤すのにはマンゴージュースが一押し。因みにマンゴーの値段は1kg40ルピー=約80円(3個相当)が相場だ。

のろのろ動き出した流れに乗って前進をする。下りてくる車に声を掛けて事情を聞くが、相変わらず道は塞がったままのようだが、迂回路が使えるようになったとのことだった。実はその迂回路も行き違いが容易くない狭い道でついさっきまで通行できなかったらしい。

迂回路に移り狭い道を揺れながらしばしば行き違いに時間を費やしながらようやくのおもいで1時40分本来のルートになる国道に戻った。反対車線は迂回路に回れない大型車が長蛇の列を作って渋滞している。ここまで通常のペースであれば40分程度で移動できた距離を今日は7時間近くかけて移動という羽目になったわけだ。

すぐに人口40万人をかかえるマンシェラの街に入る。マンシェラはここから先、中国国境までで最大の都市になる。ここでも道路税の徴収がある。左手には赤煉瓦で作られた約3000人(ピークでは1万5千人)収容されているアフガニスタン人難民キャンプがある。アルカイーダ、テロ問題の背景にあるアフガン難民を今日までムシャラフ政権は受け入れてきたが、昨今の政治情勢は大きく変わり、難民キャンプを閉鎖して母国に追い返し始めているようだ。このような痛々しい現実に正解が無い、悲惨な今日的状況に何も出来ない我々のそして人類の無力を実感してしまう。

4時半シンギアリの街を通過。両側には棚田が拡がり緑が豊かな地方だ。当地はモンスーンの影響を受けて水が豊富にあり、米の栽培が盛んだ。標高2000Mのチャタル峠を越えるためにヘアピンカーブを上っていく。周囲には松の木が繁茂している。5時25分峠を越えたところで食堂に寄って一息入れる。6時15分バットラームの街に入る。あちこちに修理中の家が目に入る。この一帯はカシミールの地震で深刻な被害を受けて、日本からの災害復旧の支援活動も行われているところだ。

7時にタコットの街に入る(イスラマバードから265KM)。眼前にはインダス川が蕩々と流れている。ようやく対面できたインダス川は激流となって先を争うようにして下っている。カラコルム街道の起点になる街だ。すぐにインダス川を対岸に渡る。対岸に伸びる山並みはまさにヒマラヤ山脈の尻尾と言われる最西端にあたり、インダス川の右岸はヒンズークシュ山脈の山並みだ。これからはインダス川に沿って遡上を続ける。8時にベシャームの街の入り口にあるランナロッジに着く。インダス川の間近にあるロッジはコテージ風だが当然空調もなく扇風機だけで冷気を呼び込むていど。蒸し暑さが今晩の最大の敵になりそうだ。ベシャームは今日の道中でのトラブルのため当初宿泊地であったチラスからかなり手前の街になる。ガイドの読みでは明日の日程を詰めることでリカバリー可能とのことだった。




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