SSブログ

⑤ヒマラヤトレッキング ランタン谷とコサインクンド  [ヒマラヤ・ランタンリルン]

11月29日(土)
ラマホテルからランタン(高度差980m)

昨晩は床下で暴れる鼠騒動に睡眠を妨害される。睡眠不足気味。
相変わらず天気には恵まれている。今日も快晴だ。ラマホテルには下からシェルパロッジ、ラマホテル、ラマゲストハウスが街道沿いに並んでいる。我々の泊まりは真ん中の一番小さなロッジだが、英語版のガイドブックでは小さいが快適だ、と書いてあった。確かに食事なども気を使ったメニューだった。ロッジに沿って登っていくと白馬が立ったまま寝ていた。毅然とした姿勢で微動だにしない。カメラを構えて近づくと首を僅かに動かした。しかし警戒するではなく大人しくしている。まるで神馬のようだ。

ロッジは大家族だ。日本語を多少話せるお爺さんと息子夫婦、その息子と家族の一員だかどうか見分けの付かない数人の男がいた。お爺さんは日本の事情にも詳しい風。きっと日本人トレッカーが彼と交流した結果なのだろうか。部屋には新幹線の写真が貼ってあった。彼の、日本そして日本人に対する好奇心は旺盛で鋭い感性は見事。こんな山奥でなければきっと素晴らしい活躍が出来たはずと余計なお節介をしていしまう。

8時には出発という予定だったが、朝飯の用意が遅くなり予定は大幅に遅れて9時一寸前の出発となった。今日は5時間半ぐらいの行程だから目くじら立てることはない。樹林帯は続くが鬱蒼とした感じではなくなる。暫く歩くとV字の谷間から岩の上に雪を頂いた峰が目に入る。漸くヒマラヤらしい景観だ。先ず見えたのはランタンⅡ(6,561m)。エベレスト街道で圧倒されたような迫力はないが、厳しいなかに穏やかな雰囲気を漂わせている。そのうちランタン・リルン本峰(7,225m)がⅡの右手に見えてきた。ランタン谷のクライマックスが近づこうとしている。

1時間半でグムナチョーク(2,800m)のロッジだ。ランタン・コーラの右岸で一寸フラットな地形にある。道を挟んで右手にキッチンと売店、左手に宿泊小屋だ。小屋の前は日溜まりとなっていて、いかにもシェルパ族とおぼしき青年がチベタン・ギターをつま弾いている。素朴な憂いを秘めた響きはこの地に相応しい。彼の雰囲気がなおさらその感を深める。

一休みしてグマナを経由してゴラタベラ(2,970m)へ向かう。ゴラタベラも広大で平坦な草原状で、長閑な雰囲気。ここでJAL・OBのグループに再び会う。ここで一休み。ここが最後のチェックポイント。再びパスポート番号の記載とサインをして前進する。1時間程度でタングシャップ(3,140m)だ。多少の木々はあるが樹林帯から低草木地帯に移っていた。ロッジが数件あるその一つに入って食事をする。

サンルーフのある暖かい場所で食事だ。少し食欲が落ちてきた。茹でたじゃがいもを頼む。皿に一杯盛って出てきた。小さいサイズだが口にしてみるとこれがなんと旨い。金時イモと言いたいぐらいに黄金色したじゃがいもだ。こんな美味しいじゃがいもは食べたことがない。ヤクの糞を使った有機栽培とでも言えようか、頬張りつく。いくつ口にしたかすっかり満腹になってしまいその挙げ句に眠気が襲ってきた。
ランタンまでのルートは着実に高度を稼ぐルート、アップダウンが少なく快適なトレッキングだ。直ぐにチャムキ(3,240m)を通過し、ひたすらランタンを目指す。あと300mの高度を稼げばランタン(3,430m)だ。気が付いてみるとV字状の谷は大きく開いて左手には岩が剥き出した山稜が見事にそそり立っている。まるでヨセミテの山を見上げている感じ。岩を縫って何段にもなって滝が落ちている。見事な景観だ。しかしここでは主人公の滝というより、それをアクセントにした広がりのあるランタン谷のパノラマに圧倒される。
世界の屋根ヒマラヤの真っ只中にこんな長閑なゆったりとした空間があるとは想像も出来なかった。まるでヨーロッパアルプスの一風景と言ってもおかしくない。 ティルマンが“世界一の谷”と言った理由はそんな親近感もあったのではと思われる。1時間半でランタンに。着いたのは5時頃だった。“ここにはホットシャワーがあるので是非使っておけ、暫くはそんな設備はない”と言われてシャワールームを使うことにする。いざ使おうと行ってみると既にポーターのオルンが先を越して使っていた。オイオイ、お前はポーターだろう。と言いたかったが若いし、お洒落な彼としては身だしなみは大事なのだろう。若気の至りとして許そう。 その後、改めてシャワールームに。道路に面したところに小さな小屋があり、ソーラで暖めたお湯を使っているとのこと。だから使用量には限りがある。ノブをひねったらなんと水ではないか。全裸でいざと構えていたが、身体の一部を濡らしただけだったので幸い凍り付くような思いはしなかった。それにしても寒い中、冷えた汗と冷たい水。今思い出しても身震いしていまう。オルンが限りあるお湯を使い切ってしまったのだ。 ランタンは奥地にしては大きな集落で、我々が泊まったロッジは下部にある。前方にはランタン・リルンが見え始めている。
美しい山だ。当然ここのロッジもシェルパ族なのだろう。顔つきは日本人に似ている。自家発ではあるが電力が使える数少ないエリアなので、カメラのバッテリーやパソコンの充電をする。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。