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⑧ヒマラヤ・トレッキング(アンナプルナ・アラウンド)(2004年11月) [アンナプルナ]

11月13日(土)  ピサンからマナンへ

6時10分起床。凍てつく水で顔を洗う。一気に目が覚める。朝のアンナプルナⅡ峰を撮りに対岸に渡り、アッパーピサンの集落の入り口まで行く。

既に水蒸気が上がっていて必ずしも良い条件ではなかった。7時15分朝食を待つ。隣ではおじいさんのお祈りが始まった。これは人によっては雑音といえないこともないが、東京の携帯音とか空しい会話とか都会の喧噪とは違って、太鼓と低音の読経が心地よく心に響いてくる。仏教を理解しているわけではないが、自分の中にも少しは仏教的世界があるのかもしれない。他方、白人にとってはどう響いているか聞きたいところだが・・・・・・。

7時30分に漸く朝ご飯。どうしたわけか最後の組になってしまった。胃の具合が多少心配なのでお茶漬け海苔にご飯。魚肉ソーセージ、ゆで卵、茹でジャガイモにした。食堂では今回のトレッキングで初めてアメリカ人との出逢いだ。7人の西海岸からの一団。ダワさんによればアメリカ人は嫌われ者(マオイストから狙われやすいとか)で、その上9.11事件以降さらに警戒的になって激減しているとのことだ。煩いぐらいによくお喋りをする連中。

8時過ぎに出発。しばらく行くと対岸に小さな集落が見え、その先に道が伸びている。その先はピサン・ピークにつながっている。そして対岸に渡って渓谷沿いにアップダウンを繰り返しながら上流に向かえばマナンに向かう。標高が高いルートなので景観は素晴らしいそうだが、余裕がないと選べないルートだ。

9時10分ノーダラ(3280m)に着く。しばらくダラダラと登り詰めると9時半過ぎ峠に至る。大勢のトレッカーが一息入れている。当地の名産であるリンゴやビスケット、パンを売っている。そこからはフンディ(3280m)の町と飛行場が眼下に広がる。


一気にフンディに向けて下る。木陰には雪の塊が残っている。上空をフンディに向かう飛行機が飛来する。9時55分小休止。ピサン・ピークがお椀を伏せたように綺麗な姿を見せている。前方にはアンナプルナⅢ峰が綺麗に見えている。写真に納めておこう。ここからは平原状の広がりの中を淡々と歩く。確かに飛行場が作りやすい地形になっている。

10時半フンディの町に入り小休止。アンナプルナⅢ峰(7555m)がはっきりと眼前に迫る。そこから続くブリッジにはアイスフォールが垂直の壁を覆っていて、その先にアンナプルナⅣ峰(7525m)がある。

10時50分出発。11時右手には滑走路だ。滑走路は舗装されていないようだ。道路中央にマヘンドラ元国王の立像がある。国民から慕われていた国王だったが、政変で暗殺された、。現国王はマヘンドラ国王の次男、長男も元国王とともに暗殺されたため王位を継承したのが次男ギャネンドラだが、国民からの信頼は得られていない。

その先で軍隊の検問を受ける。チリチョー・ピーク(7134m)の山頂が正面に頭を出している。そして正面にはチュリュ・イースト(6558m) の山群が聳えている。この一帯は平坦で西部劇の世界を思わせる。30分ほど行くと水が殆ど消えたポカリがあって対岸に小綺麗な建物があった。1979年にユーゴスラビアの協力で建てられた登山学校だそうだ。今ではネパールの山岳協会によって運営されている。 左手に大きな沢が入り込んでいるが、開けた沢の空間の奥にアンナプルナⅢ、Ⅳ峰が見える。

正午に小休止。午後を過ぎると必ずと言っていいほど風が強くなり、土埃を上げて舞う。マスクをしたいほどだ。家畜もこの高度になるとヤクの世界になる。長い暖かそうな毛で覆われている。12時05分、マナンの町が遠くに見えてきた。対岸に渡り、12時20分ムンジ(3330m)にあるロッジに入る。一帯は赤茶けた砂漠、まさにチベット的な景観になっている。右手に岩肌の中腹にゴンパがある。そしてチベタンの集落ブラガがある。強い風が後方から強烈に吹きまくる。フォローだからまだしも真正面からだとかなり辛い風だ。タオルを口に当てていないと砂埃を吸ってしまうほどだ。なかなかの苦痛だ。

1時25分マナン(3540m)の町に入る。チベット族の一部族、マナミ族の町だ。川に架かっている橋の向こうには放牧地があって馬や牛が放たれている。チュル・イーストが後方に見える。その下にはブルガの町が見える。マルシャンディ川の左岸に聳立ったピークの上にタルチョがはためいている。明日高度順応のために上るピークだ。2時にマナンの町のゲートを潜り、2時10分にはロッジ・ヒマラヤンシンギに着く。当地では最高クラスのロッジなのだろう。コの字に部屋が配置されていて部屋にはシャワー、トイレ付きだった。

荷物の整理をする。ザックから荷物を取り出してみてビックリ。日本から持ってきた携帯食を取り出したらいくつかから中身がこぼれていた。高度のため圧が強すぎて破れたのかと一瞬思ったのだが、よく見ると囓られた跡があった。そういえば昨晩、夜中に夢うつつながらガサガサという音がした気がしていた。無意識にザックを揺すったりした記憶がある。夢ではなくて現実だったのだ。犯人は鼠だ。ランタンの時にも鼠に被害を受けたことがある。不注意にも夜の防備を考えずザックの紐を締めることなく放置したのが敗因。今更悔やんでも仕方ないが、楽しみにしていた日本食やビスケットを数点食べ損なうことになった。

一段落してから2時40分、マナンの町を散策する。相変わらず午後には台風のような風が吹き荒れ、乾ききった土を巻き上げてくる。音がすごい。囂々と音を立てている。タルチョーが引きちぎれんばかりに翩翻とはためいている。体中が土まみれになった気分だ。ロッジの前は広場になっている。おそらく雨期にはジャガイモ畑なのだろう。石ころだらけで畑とは思えないが、柵があるので辛うじて畑であることから分かる。

ロッジはマナン市街の一番手前にある。道に沿って先が中心地だ。ここはトロン・パス越えの最後の最大の町と言うこともあって、トイレットペーパーやスナック菓子など売っているバッティが軒を並べる。シャビーなスナックや映画館もあった。まさに白人トレッカーを意識した町作りだ。だらだらと上っていくと、両側から石積みの家並みが迫り、石の回廊という風情になっている。マニ・ウオールやゴンパなどある中心地を過ぎると道が二手に分かれ、一方はトロン・パスを目指すルート、左手に折れるとマルシャンディ川を渡ってダム湖に向かう。

町を一周して宿に帰る。4時にもなると風もおさまったが、空気はさすがに冷たい。手を擦りながらベランダから澄んだ空気に美しく映えているガンガプルナやアンナプルナの厳しい山容をカメラに納める。アンナプルナの稜線には強風が吹いているのだろう雪煙が上がっていた。

稜線の後ろから夕陽を受けてシルエットになった荘厳な山容は人を寄せ付けない厳しさを持っている。そして氷河が青白く薄気味悪い光を放っている。6時半ヤク・ステーキと焼きそばで夕飯。8時には就寝。部屋に向かう回廊に立つと町の賑わいが伝わってくる。正面にはネオンサイン擬きの灯りもあった。すっかり外人を意識した社会になっているのが一寸寂しい。マナン地方はマナギー族(チベタン系)が住んでいる。


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