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⑥ヒマラヤトレッキング ランタン谷とコサインクンド [ヒマラヤ・ランタンリルン]

11月30日(日)
ランタンからキャンジンゴンパへ(高度差460m)

6時に起床。いつも8時ぐらいには出発という計画だが食事の段取りが悪く今日も8時50分の出発になる。今日は一日の行程が4時間弱。高度との戦いはあるものの楽な行程だ。
ランタンは道に沿って細長く延びた集落。湿地帯もあったり、牧歌的な景観だ。ここまで来ると家畜はヤクになる。


3,000mを越すとゾキョやバッファローには環境が厳しい。ヤクは何十センチもある毛を持った牛の一種で、防寒対策は完璧な動物だ。おっとりとした感じは親近感を覚えるが気性は激しいそうだ。辛うじて残っている草をのんびりと食んでいた。湿地帯に流れ込んでいる小川を徒渉する。顔を出している岩伝いに対岸に渡ろうとしたが、その岩がなんと凍っていた。予想外の展開で足下を失い片足を水の中に突っ込んでしまった。幸いストックのお陰で片足だけが水没。靴の中まで水が入ってしまったかと心配したが浸水は逃れた。この寒い中、濡れた靴で歩くのは辛いし靴下の交換にもなると面倒になるので助かった。大事に至らずちょっとしたハップニングで終わってホッとする。
道筋にはマニストーンが長城のように続く。


マニ石をしきたりに従い幸運を祈りつつその左側を歩いて進む。V字状の谷の左側に際だったランタン・リルンが天を突き上げるように聳えている。ムンドゥ(3,410m)、シンドゥム(3,410m)の集落をそしてヤンプー(3,640m)の村を通過してなだらかなトレッキングを楽しむ。右手にはガンジャラを経由してカトマンドゥに通じるルートがあると聞いた。この南下するルートの西側にこれからチャレンジするコサインクンドがある。


長閑なランタン谷を取り巻くように6,000m級の急峻な山々が聳えている。本当に美しい景観だ。ランタン・リルンの氷河の水を集めたラジャコーラを渡り確実にそして徐々に高度を稼ぐと、遠くにキャンジンコンパの集落が目に入った。いよいよ最後の一寸した上りだ。幸い高山病の気配もなくここまで来られた。1時にロッジに着く。
ロッジの前は広々とした広場があり、テーブルと椅子が置かれている。風もなく椅子に座っているとウトウトしてしまうほど暖かい。左手には明日挑戦する小高いピーク(4,350m)があり、そのピークからはランタンリルン、ランタンⅡ、そして氷河が眺望できるベストビュ-が望める。明日の晴天を期待する。そして少し左に目を回すとゴンパがある。クーンブ地方最大と言われたタンボチェにあったコンパに比べてたらはるかに小さなものだ。
午後はトレッキング中唯一ののんびりした時間になる。これからの厳しい行程に備えて今までの疲れを癒しておこう。長いすに横たわり昼寝をする。時々人々の声が聞こえる以外音らしい音はない。遠くから伝わる渓流の音が心に染み渡る。なんと幸せな時間だろう。 この平坦な空間に上部からホースが引かれていて、そこから勢いよく水が出ている。村人は桶を胸に抱えたり、頭に引っかけて水汲みや洗濯に集まる。近づいて水に触れてみると生暖かい。上部にあるソーラで暖めているとか。こんな奥地でも近代技術の恩恵を受けている。交通の便もない、近代社会とは隔絶した世界なのに近代文明の恩恵とが混在してる不思議な世界だ。 しかし、この近代化は恩恵だけではなく、プラスチック公害も持ち込んでいる。あちこちに使い捨てられたペットや缶が散乱している。トレッカー達が全て捨てたとは思えない。おそらくこの地で生活している人も荷担しているはず。地元の人にとっては生きるのに精一杯、便利さを追求するのはやむを得ないことなんだろう。日本でも道路際には缶やボトルが散乱しているのだから責めるわけにいかない。

昼寝から目が覚めると相棒がどこかに散歩に行ったのだろう、視界にはいない。ゴンパの前を通りピークの左側谷沿いにあるリルン氷河の方に向かって歩く。寝起きの所為もあるし高度もあるのだろう、何となく怠い気分でゆっくりゆっくり歩く。氷河が目の前に迫ってくるが、谷全体を見通す所にはなかなか辿り着かない。 あそこまで行けばと行くけどその先にまた先がある。適当なところで折り返し戻りかけたら、相棒が上がってきた。改めて氷河の眺望地を目指そうと二人で先に行くが、いっこうに変わらない景色に先に進むのを断念して戻ることにする。下山途上でゴンパを覗くが鍵がかかり中には入れない。冬は修行のシーズオフで使われていないそうだ。ゴンパの前には土産物屋があり、編み物が陳列されている。声をかけられるが、分からないふりをして素通りする。

1,2時間のんびりしたところでサンタの案内でヤクのチーズファクトリーを見学に行く。ロッジの直ぐ隣にある。中に入ると真っ暗だ。冬季は温度が低いので生産はしていない。乳を攪拌するなべや炉、そして製品の貯蔵棚などを見学させて貰う。チーズを少しだけ買い求め食してみた。ヤクの乳だから癖があるのではと一寸構えたが、意外にも癖のない美味しい味であったのには驚いた。


体力的にまだ余裕があるし、休暇の関係で後半の日程を無理して短縮しているので、ガイドブックや地図を見ながら後半の日程の見直しをする。当初の計画ではキャンジンゴンパでもう一日ゆっくりしてから下山する予定になっていたが、先のことを考えて短縮することにする。

ランタンリルンを眺望出来るピーク、キャンジンリに上ることになっていたが、ゴンパから見えている手前のピーク(4,350m)迄行けばそれに匹敵する眺望が得られることが分かったので、キャンジン・リの登頂を断念して手前のピークまでの行程にする。そうすれば明朝一番でそのピークに登り、その後朝飯、そしてラマホテルまで下る、ここでの一日短縮が可能となる。

高山病の気配らしき症状(後頭部が軽く痛みを感じる)が出ているものの、敢えて言えば、という程度だ。前回ナムチェバザールで体験した症状に比べれば軽い。この程度なら誰でもがなる症状だ。体調はまあまあ快調。ただ気になるのが腹の具合。徐々にではあるが胃が油っぽい物を受け付けなくなってきたし、下痢までは行かないが腸の調子も下降気味。
明日からは持ってきたお茶づけ海苔にご飯をベースのメニューに変更だ。


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