7月29日(日)
アボッダバード~ベシャームへ
夜半から雨音にしばしば睡眠を妨げられるほど激しく雨が降り始めた。それに雷の音も加わった。5時半には目を覚まし外を見るが、激しい雨足は相変わらず。今日は車だけの移動なので雨降りでも関係ないと高を括っていたが、それが原因で大幅に計画変更を余儀なくされる羽目になる。7時に予定通り出発する。しかし、雨は益々激しく降り道路は冠水しまるで川のように流れ、どこが道でどこが歩道なのかも見分けがつかない状況になっている。車が走ると水しぶきを跳ね上げていくが、歩行者への配慮はお構いなしだ。早朝で道路は空いている。順調に走っていたが、20分も走らないうちに突然道路が渋滞にはまる。しばらくするとトラックに乗せた重機が雨が原因で道路に落下して道を塞いでしまったとのことだと
人伝えに状況が分かってきた。ブルが来て復旧するには相当の時間が掛かるとの見込みで一旦ホテルに帰ることになる。戻る途中右手にあった総合病院に見学のために立ち寄って貰う。まだ診察時間前なので患者、その家族などが右往左往しているが、スタッフはほとんど見あたらなかった。医療制度などガイドに質問したが、埒があかず状況確認は断念する。暫時病院内を見学した後、道路状態を確認するために再び折り返して前進してみる。
のろのろ動き出した流れに乗って前進をする。下りてくる車に声を掛けて事情を聞くが、相変わらず道は塞がったままのようだが、迂回路が使えるようになったとのことだった。実はその迂回路も行き違いが容易くない狭い道でついさっきまで通行できなかったらしい。
迂回路に移り狭い道を揺れながらしばしば行き違いに時間を費やしながらようやくのおもいで1時40分本来のルートになる国道に戻った。反対車線は迂回路に回れない大型車が長蛇の列を作って渋滞している。ここまで通常のペースであれば40分程度で移動できた距離を今日は7時間近くかけて移動という羽目になったわけだ。
すぐに人口40万人をかかえるマンシェラの街に入る。マンシェラはここから先、中国国境までで最大の都市になる。ここでも道路税の徴収がある。左手には赤煉瓦で作られた約3000人(ピークでは1万5千人)収容されているアフガニスタン人難民キャンプがある。アルカイーダ、テロ問題の背景にあるアフガン難民を今日までムシャラフ政権は受け入れてきたが、昨今の政治情勢は大きく変わり、難民キャンプを閉鎖して母国に追い返し始めているようだ。このような痛々しい現実に正解が無い、悲惨な今日的状況に何も出来ない我々のそして人類の無力を実感してしまう。