12月11日(木) マカルーBCへ

夜半にはちらちらと雪が舞った。天気が気掛かりだったがさいわい朝方には高曇りでうっすらと日射しもさしている。




進行方向前方にはネパウ、チョモラン、カンブツリマ、ピラミッドの形をしたピーク4が谷間から覗く。目指すシェルパニコルはピーク4の右側になる。
マカルーの南側(ネパール側)麓を源流としてバルンコーラが流れている。マカルーから東に延びる稜線に南東ピーク、ピーク3、ピーク5と続き、その稜線と対峙するバルンコーラの対岸に聳える稜線に西側からピーク4,ピーク6、ピーク7と並ぶ。

今日はゆっくりの行程になるので8時半の出発になる。薄日は射すものの縦に走る筋状の雲は明らかに不安定な天候の前兆に思えて仕方ない。ガイドに尋ねるのだがなかなか確たる予測にはならない。少なくとも日本の山岳でこのような雲を見れば悪い前兆と言うのが普通だが。


左手に展開する谷は徐々にかつての氷河の痕跡を露わにしている。どこでも起きている氷河の後退はここでも同様。モレーンが両岸に押し出されて小高い盛り上がりを作っていく。10時過ぎにはメラカルカに着く。正面にチョモランその左にネパウだ。




メラの次のカルカ、シェルソン(4630m)はすぐだ。10時半に着く。この一帯まではカルカとして好条件になっている。この先バルンコーラは右(北)に方向を変えてBCに向かう。向きを変える対岸に流れ込んでいるコーラはU字状の谷を覆うようにブルーのアイスフォールが落ちている。氷河の末端が剝き出しになっている。その奥にはピラミッド状のピーク4が聳えている。


時間は早いがこの先水場もないのでランチになる。今日はドルチさんお得意のおにぎり弁当だ。それにゆで卵。ポーター達は昼抜きでマカルーBCに先行する。

左流れの斜面を緩やかな登りのトラバースが続く。一時は雲が覆い被さった時間帯もあったが、なんとか持ちそうだ。右手稜線越えにマカルーのピークが辛うじて覗く。通常のルートでは徐々に高度を下げてコーラに近づき氷河湖に向かうのだが、谷を吹き上げる強風を避けるために高度を下げずに中腹にあるキャンプサイトを目指す。


1時過ぎにはキャンプサイトに着く。幸い一時雲に覆われた天空も雲一つ無い空になってくれた。ここは谷間になるので日の落ちるのが早い。日が落ちると一気に寒くなり、コックさんの入れてくれたチャイが身体の中から暖めてくれる。

眼下、コーラの上流には氷河湖がいくつか見える。コーラの対岸に複数のロッジがあるが人の気配は全く無い。そこが水場になのでポーターは高度にして数百メートルの上り下りは負担だ。

夕刻、マカルーに夕陽が射して赤やけをしている。明日は右手稜線に上がり、日頃見ることがないエベレスト、ローチェ、ヌプチェの裏側の姿を拝む予定だ。そしてこれからの天候想定をしながら最終的にシェルパニコル越えを覚悟するのかの大事な決断をしなければならない。